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高い授業料

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 まずは、警察の情報を得るということであり、こちらにかけては、警察が使っている
「情報屋」
 というものが、実は、裏では金で動く集団というものを組織していることを警察が知っているかどうかは分からなかった。
 そこで仕入れた話であるが、これが、この事件の全貌に近いものであり、
「非常に意外なことである」
 といってもいいだろう。
 というのは、まず、
「八木沼老人の組織」
 というのが、今は、
「身動きのできない体制になってしまった」
 ということだったのだ。
「もし、ここで動けば、彼らは自分を滅ぼすことになる」
 というわけで、彼らには、後ろ盾があったのだが、その後ろ盾が、
「お前たちがここで動けば、元の木阿弥、すべては、水の泡だ」
 ということだったのである。
 だから、彼らは身動きが取れなかった。
 ちょうど、その頃、政府はあわただしい状況になっていた。
 警察は、てんやわんやで、それは、上部組織である、
「公安部」
 も同じであった。
 警察と公安は、政府のあわただしさに、明らかに左右されていた。
 それは何かというと、
「近く行われるであろう、政府の解散総選挙」
 というものであった。
 軽擦があからさまに、解散総選挙を前に、バタバタするということはなかった。
 しかし、今回は、
「ソーリ暗殺」
 というウワサが流れたことで、その状況が大きくクローズアップされた。
 実はこの時、犯行声明というものがあり、その中でかなり長文であったが、かなりの数の、
「要望なるもの」
 が示されていた。
 それは、
「政府要人でも一部しか知らないような組織も書かれている」
 ということで、無視できるものではなかった。
 その中に、
「八木沼老人の組織の名前」
 もあり、
「組織の解体」
 と要求してきたのだ。
 普通であれば、
「警察の生活安全課がいくらマークしているとはいえ、簡単に組織を解体できるわけではないということは分かり切っているはずなのに、実際には、いとも簡単に解体してしまった」
 ということであった。
 そこで、警察にとっての、
「ウラの情報屋」
 の話として、
「トップシークレットだが、やつらは、警察の裏組織だったんだ」
 ということであった。
 なんと、
「警察とグルだった」
 ということである。
 ただ、警察としては、それによって、治安が守れるということで、組織したものだったのだが、それが、途中から変わってきたということであった。
 その内容として、
「あの組織は、元々は、警察が、冤罪を防ぐために作ったものだったんだが、そのうちに、脅迫されている人を巻き込んで、暴利をむさぼるような組織になっていったんだ」
 というのだった。
「それじゃあ、まるで、長い者に巻かれたということになるんでしょうか?」
 と聞くと、
「そういうわけでもないようで、そもそも、警察が政府の犬のようになりかかった時、その状態を打開するということで、裏の部分を引き受けるということになったようなんだが、それを、美人局連中に付け込まれたようなんだ。やつらはやつらで、実際には、八木沼のやっていたような、ウラの組織の傘下に入っていたのさ。その方が単独で行動するよりも、リスクが少ないからな。だけど、やつらだって、悪の組織の下っ端では、いつ裏切られるか分からないということで、上部組織の寝首をかくための何かの証拠を探していて、それを見つけたんだ。それで立場はお互いに均衡を保てるようになったことで、うまくいっていたんだけど、それが、急にバランスが崩れてきたようなんだ」
「というのは、どういうことなんですか?」
 ということであったが、
「やつらのターゲットは同じでなければいけないんだが、まずは、冤罪事件をでっちあげてから、途中で八木沼が出てくるというのがやつらのやり方だろう? その間に時間がいくらかあるわけで、その間に、彼らを取り巻く環境が一変すれば、すべてが狂ってくるということで、そのことに、やつらは気づかなかったのさ。そのせいで、せっかく今までうまくいっていたものが狂ってくることになる。それが、やつらにとっては、致命的なことだったということさ」
 というのであった。
「ということは、何かよくわからないが、俺は助かったということか?」
 ということで、
「お金は使ってしまったが、そもそも、俺は何も悪いことをしたわけではない」
 ということから、
「高い授業料だった」
 ということで、この事件を、大っぴらにする気はなかった。
 何といっても、
「こんな話誰にしても信じてもらえるわけはない」
 ということになり、実際に、
「当事者の全員が、消えてしまったのだから、報告を聴いたとしても、それは、すべてが、想像の域を出ないということになるのであろう」

                 (  完  )
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作品名:高い授業料 作家名:森本晃次