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表裏の性格による完全犯罪

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この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年4月時点のものです。お話の中には、事実に基づいた事件について書いていることもあれば、政治的意見も述べていますが、どちらも、「皆さんの代弁」というつもりで書いております。今回の事件も、「どこかで聞いたような」ということを思われるかも知れませんが、あくまでもフィクションだということをご了承ください。

                 場末のバー

「これはあくまでも、俺の友達からの話なんだけどな。お前のように、推理小説をよく読んでいる人なら興味深いと思って話をしようと思うんだけど、あくまでも、架空の話として聞いてほしいんだ」
 と、一人の男が、一緒にいた連れに話をしようとしていた。
 そこは、町はずれにあるバーのようなところで、女の子もカウンターの中にいたりする。そういう意味では、雰囲気はスナックのようなところであるが、女の子も皆バーテンダーであり、それぞれにカクテルを作る技を持っているのだ。一種の、
「ガールズバー」
 に類するところで、この話を始めた男は、もう一人の男性客を伴って入ってきて、そこで、奥の、テーブル席で、話を始めたのだった。
 時間的には、まだ開店時間からそんなに経っていなかったので、客はカウンター席に一人いるだけだった。
 テーブル席を利用するという人はそんなに多いわけではない。それだけに、カウンターに座っていた客は、奥のおテーブル席に座った客を気にしていた。
 店の女の子たちは、基本的に、
「接客しないで済む客を、いちいち気にしてはいけない」
 ということになっているので、それぞれ、自分の仕事に従事していた。
 そもそも、この時間であれば、むしろ客が少ないのも当たり前、酒やおつまみの補充としての入荷を受けたり、付け出しのようなものの調理、さらには、開店準備としての清掃などが、主な仕事であった。
 このバーは、いわゆる、
「隠れ家的な場所」
 ということで、昔から言われる、
「場末のバー」
 といってもいいかも知れない。
 だから、客のほとんどは、
「まず、他の店で軽く飲んで、それから遊びにくる」
 という人が多かった。
 最初に居酒屋に行って、食事を済ませるという人も少なくなく、軽く酔ってやってくるには、ちょうどいいという感じであった。
 ただ、場所としては、あまり健全なところとは言えないかも知れない。
 今はすっかりなくなってしまったが、時代が時代であれば、
「ちょんの間」
 と言われたところであった。
 昔は、
「赤線・青線」
 と言われていた地域で、売春行為を行っていたところであるが、途中から、
「売春防止法」
 というものの施行によって、禁止されていたが、
「それを、旅館、 料亭、スナックなどに転向し、客と従業員との自由恋愛という名目をとって、営業を続けている」
 ということであった。
 今も実際にある地域もあるが、ほとんどはなくなってしまい、そのあたりが、住宅地として転用したり、普通に、スナックやバーとして営業しているところもある。
「場末のバー」
 というのも、そういうことであり、逆に客にとって、
「隠れ家のような店」
 を望んでいる人にはありがたいだろう。
 店としても、一定数の常連客だけでやっていけるのであれば、それが一番いい。特に、マスターや店主が、頑固者だったりする場合は、
「一見さんお断り」
 という人もいるだろうから、それに越したことはないということだ。
 もっとも、
「ガールズバー形式にするのであれば、もっと、客の回転がいい場所にすべきなのだろうが、そもそも、昔のちょんの間の名残りから、女の子が行くところがないということで、一時の預かり場所ということでの営業だった」
 ということだが、それが、
「一時の、ガールズバー人気」
 というものと、
「隠れ家のような場所を求める」
 という客が意外と多いというのが分かったことで、この店は、結構長くやっているのであった。
「やっぱり、常連さんがいないと、店はもたない」
 ということを証明しているかのようで、客も、
「仕事や人間関係に疲れ果てていて、癒しを求めている」
 というのは、いつの時代も同じであり、
「風俗店での癒し」
 を求める人もいれば、
「飲みながら、女の子と会話を楽しむ」
 というだけの人も結構いることから、店は、繁盛しているようだった。
 客がたくさんいる時間帯であっても、皆静かに飲んでいる。
 女の子と話をする場合も、そんなに大きな声を出す人がおらず、皆、
「自分がされて嫌なことはしない」
 というのが、その根底にあることで、
「こういう店では、騒ぐということが一番ダメなことなんだ」
 というのを、分かっているということであった。
 だから、この日の客の奥の二人は、
「一人は常連だが、もう一人は最近店に来るようになって、ひょっとすると、常連になるかも知れない」
 という人であった。
 最初に話しかけたのは、その、
「常連予備軍」
 という人であって、話しかけられた人は、
「すでに常連となっている人」
 ということであった。
 元々、二人は一緒に来たわけではない。つまり、
「示し合わせていたわけではない」
 ということで、偶然一緒になった二人だったが、どうやら、
「常連予備軍」
 の客が、常連さんを誘い込む形で、話に入ったのだ。
 この常連さんというのは、女の子と話をすることもあるが、基本は、一人で飲んでいることが多い。
 ただ、話しかけられると、あからさまに喜んでいる。それはもちろん、女の子から話しかけられるからだろうと、女の子たちは思っていたが、今日のように、他の客から話しかけられても、女の子相手ほどではないが、別に嫌な顔をすることもなく、喜んでいる様子であった。
 だから、
「奥のテーブル席にでも行きましょうか?」
 というと、すぐに頷いて、相手の出方を見守っているという感覚で、主導権は、相手に握らせながらも、自分もワクワクしているというところで、
「この客は、主導権を相手に与え、自分が楽をする」
 ということを楽しむ客ではないかと思うのだった。
 常連客の中には、そういう人も結構いて、女の子とすれば、接客する必要はないので、楽だと思う女の子もいれば、
「ちょっと寂しいわね」
 と、接客を楽しみに働いている人にとっては、
「少し物足りない」
 と感じている人も少なくはないだろう。
「常連予備軍」
 である、話しかけている方の客は、女の子たちから見れば、