「共犯の因果応報」と「一周回った完全犯罪」
と思っているのだろうが、そんなことをする必要などないはずなのに、それをしてしまったことで、
「因果応報というのは、疑心暗鬼が作り出した妄想だ」
ということだ。
「この二つの事件が連続殺人だ」
ということに、
「疑問を持っている」
とわざと捜査員に思い込ませ、その考えが、結局は、
「その人間を隠れ蓑に、隠す」
ということになり、それが、
「念には念を入れた」
ということになるのだろうが、結局は。
「共犯と疑われることで、一事不再理というものを覆されてしまえば、元も子もない」
ということになってしまうことを恐れたのであった。
ここまでいうと、
「真犯人は、清水刑事」
ということになるのだ。
二十年前の事件も、考えてみれば、結局最後は曖昧になり、
「額面通りの解決」
ということにしかならなかっただろう。
そこで、結局は、
「鈴木刑事も辞めてしまう」
ということになったが、それは、清水刑事にとっては、計算外ではあったが、
「自分としてはありがたい方向に向かってくれた」
ということであった。
しかし、まさか、二十年経って、一周回ってきたと言えばいいのか、その鈴木刑事が、
「因果応報の原因になる」
とは思ってもいなかったのだ。
清水刑事は、これを、
「完全犯罪だ」
と思っていた。
清水刑事が考えている完全犯罪というのは、
「もろ刃の剣」
であり、それが、
「小説やドラマではありえるが、実際にはありえない」
という、
「交換殺人」
という理論ではないかと思うのだった。
だから、今回の清水刑事の計画として、結果として、
「交換殺人」
というものを自らで作り上げようとして、無理があった。
ということで、因果応報に向かったということになるのだろう。
「共犯というものは、完全犯罪には不可欠なものなのかも知れないが、それが、結局は、すべてにおいて、一周回ることで、因果応報へと結びつくということになる」
ということなのであろう。
そして、事件は急転直下で解決し、世間からは、
「ずさんで最低の犯罪」
と言われるようになったのだった。
( 完 )
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作品名:「共犯の因果応報」と「一周回った完全犯罪」 作家名:森本晃次