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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 前編

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へびのなまやけ かえるのさしみ



梅雨も終わりかけの放課後、主将会議に向かう途中で神末伊吹(こうずえいぶき)は陸上部主将の駒形と出くわした。

「大会前でなんか変な気分だよ。士気は高いのに引退が間近って思うと気持ちが下がる」

駒形がため息まじりにもらす。受験生の伊吹らは、高校最後の大会を終えて引退すれば、あとは受験に向けた日々が始まる。部活動は高校生活の大半を占めていたので、それがなくなったあとの生活がいまいちうまく想像できない。寂しさであるとか、後悔であるとか、そういった思いにとらわれる物なのだろうか。それとも、やり切ったと言い切れる清々しい気分になるのだろうか。わからない。

「終わることなんて、考えたくないよな」

伊吹は言った。単純に寂しい。当たり前のように毎日顔を出していた弓道場や、クラスメイトよりもきっと付き合いの深い部員達との日々。ずっと続いてほしいと願わずにはいられなかった。

「だから、少しでも多く勝ち続けないと」

駒形がそう言って生徒会室の扉を開けた。生徒会室には運動部の主将がコの字型に並べた机に座り、伊吹らと似たようなことを話しているのが聞こえた。生徒会長が入室し、さっそく会議が始まった。

「えー、夏の大会がぼちぼち始まるわけですが、三年生には最後の集大成となるわけですね。悔いのないよう頑張ってください。そして、活動の中で下級生への引継ぎなども進めていくようお願いします。とくに運動場や体育館の使用権をめぐってのトラブルは毎年の課題です」

負ければその時点で引退が決まるのだ。地区大会を勝ち抜き、県大会を突破し、全国。インターハイ予選を目の前にし、運動部はどこも緊張感をもって活動している。伊吹の率いる弓道部も同様だ。悔いのないように…誰もがそう思っている。三年生はもちろん、後輩たちも。

「ただ今年、強化合宿に充てる施設の確保ができていない部活動があります」

えー、困るんですけどー、と主将達から声が上がる。