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未来救世人

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 犬飼少年は、桜井少年と、まったく違う能力を持っている。
 しかし、二人はお互いに引き合うものを持っていて、それがどこからくるものなのかということは、正直、分かりそうで分からなかった。
 もし、これが他の人であれば、二人の関係を、まったく気づかないに違いない。
 二人には、お互いにそういうオーラがあり、他の人には気づかせない力が存在していた。
 しいていえば、
「この力だけが、二人に共通したもので、それ以外は、まったくの相対、いや正対したものだ」
 といえるのではないだろうか。
 それを考えると、
「二人の力は、寄せ合う部分もあり、惹きあう部分もある」
 といえるだろう。
 それを感じた時、研究員は、
「宇宙的な、マクロな考えだ」
 といえるのではないかと考えていた。
 それは、
「月と地球の関係」
 というものを思い浮かべたからだ。
 その一つとしてすぐに浮かんできたのが、
「月の引力」
 というものが、地球上での影響力として、
「潮の満干」
 というものに関係しているといえるではないか。
 地球というものは、
「七割が海だ」
 と言われている。
 ほとんど、
「海がなければ、生息できない」
 と言ってもいいだろう。
 ただ、今の世の中、その膿が広がることで、地球人の運命が変わってくると言われている。
 つまりは、
「地球温暖化」
 いや、今では、
「地球沸騰化」
 とまで言われているということである。
 というのは、
「地球のオゾン層が破壊されることで、地球の温度が上昇し、そして、南極の氷が溶けるとことで、今住んでいる部分が海に浸かってしまう」
 それが、大きな問題となっているというのだ。
 そのために、
「自然破壊というものをやめさせよう」
 とはしているが、今の社会が成り立っているのは、その自然破壊によるもので、
「それを辞めてしまうと、生きられない」
 ということを意味している。
 だから、本来であれば、
「破壊を食い止めるよりも、人間が生きられるところを探す」
 という方がいいかも知れない。
 自然破壊というものが、
「どこまでいくと、人類の生存を危うくするか?」
 ということを計算すると、少なくとも、
「数百年は大丈夫」
 ということになる。
 それを考えると、
「宇宙のどこかに、移民できるところを探す」
 あるいは、
「地底都市を開発する」
 あるいは、
「地上をシェルターのようにして、潮が満ちてきても、暮らせるようにする」
 などという、
「科学の進歩に賭ける」
 という考えもあるだろう。
 もちろん、
「両方を同時並行で進める」
 ということもありであり、実際に、それを考えているのが、
「山岸研究所」
 というところの、
「裏の役目」
 というものであった。
 実際に、
「地球というものをいかに発展させるか?」
 ということと、
「人類の未来」
 ということを考えながら進んできた。
 実はこの研究所が、その路線に切り替えたのは、今から半世紀前のことだった。
 そしてその中で、
「継続して研究されてきた」
 というのが、遺伝子工学というもので、
「遺伝子の発展によって、人類を救う」
 というものである。
 それが、
「人間の中に潜在している能力。つまりは、超能力というものが、地球を救う」
 ということで、真剣に研究されていたのだ。
 最近では、その中で、
「双子」
 というものへの研究が尽くされてきたが、さらに、ここ数年での研究として、
「一卵性三生児」
 というものが注目されてきた。
 一つの卵子に、三人の子供が宿るという考えである。
 実際にそれが、可能なのかどうなのか、難しいところであったが、実際に研究し、
「人工授精で成功した」
 という症例があった。
 しかし、これは、倫理的にも宗教的にも許されることではなく、
「神をも恐れ部暴挙」
 と言われるのは必至で、
「全世界を敵に回す」
 ということになるのだ。
 しかし、
「こうでもしないと、地球を救うことはできない」
 ということで、実験を強行した。
 そして、実際に、その中で一人の女の子が、
「長生きできなかった」
 ということになったことで、余計に、
「公表はできない」
 ということになったのだ。
 これを知っている人は、政府はもちろん、誰もいない。
 実際にこの研究が噂になったこともあったが、一瞬にしてウワサは消えてしまった。
 だから、誰も意識をしている人はいなかったのだが、
「いずれ、人類は、この研究を必要とする時期がくる」
 ということで、
「山岸研究所」
 の中での一部の研究員は知っていたのである。
 そして、
「それがいまだ」
 ということに気づいたことで、秘密裡の
「プロジェクトが立ち上がった」
 ということである。
「山岸研究所」
 というところは、そもそもが、
「このことを研究するために作られたもので、誰が証明できるのか?」
 というところまで来ていた。
 そして、理念としての、国家主義である、
「社会主義」
 と、
「自由主義」
 それを一緒にすることで、
「理想の政府を作ることで、いずれやってくる人類の危機を脱するための国家を育成する」
 ということが、
「山岸研究所」
 の本来の意義であった。
 二人の少年が、この後、いかなる国家体制に影響し、国家を助けていくかということは、誰が知るというのか。
 その後にいわれることとして、
「二人の少年研究員が生まれ、彼らは、絶対的な自由と権力の下、研究を行っている」
 ということを、内部だけで知られるようになった。
 それこそ、それを世間が知ると、
「独裁国家の出来上がり」
 ということになるだろう。
 しかし、
「お互いにけん制しあって、補うところを補いながら、成長していく」
 ということなのだから、
「今までに出てきては、消えていった独裁者とは、質が違う」
 ということで、
「本当の意味での、人類にとっての、救世主」
 ということになるのだろうか?
 この救世主というものは、二人がもたらしたものではない。
 以前からあった発想であり、それを提唱したのが誰なのか。それを、二人が研究するということになったのであった。
「社会が人間を作る」
 そして、
「人間が社会を作る」
 その言葉が、いずれ、
「小さなことだ」
 と言われるようになることが、
「人類を救うことになるのであろう」

                 (  完  )
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作品名:未来救世人 作家名:森本晃次