青い瓶(本人登場)
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おどおどと私はお店の中を見渡したが、目に付くところに人影は無かった。
意外と店内は広かった。
雑多にモノが積まれた様だけは大手の雑貨屋みたいで、でもそこに在るものはことごとく古めかしく、2,30年は売れずにそこに鎮座しているかのようで。
――やばい。
ここはどう見ても常連の人しか来ないようなお店だ。
振り返って出て行こうか?とか思わずそんなことを思いはしたものの、一旦足を踏み入れたものだから何かをみないわけにも行かない気もして。
だから私は少しでも明るいところを目指し、その結果ショーウィンドウの側に歩みを進めることになった。
そしてそこには、私がここに引きずり込まれるきっかけになった青い瓶が不格好なまま立ち尽くしていた。
――何もかも、こいつが全部悪い。
私はそう思い、僅かな腹立ち紛れにその瓶を手に取ってみた。
瞬間、私の手のひらに想像していなかった冷気を感じた。
日に当たるところに置かれていたはずなのに、一切そこに熱を吸収せず、むしろ冷え凍るような錯覚を感じさせるような。
驚いて取り落とさなかったのは私の鈍さが為せる業と言えなくもなかった。