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研究による犠牲

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 この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年3月時点のものです。時代背景と時代考証とは、必ずしも一致するわけではありませんので、ご了承ください。一種のパラレルワールドでしょうか?

                 国破れて山河あり

 F県F市には、K大学という大学があった。それほどキャンパスも広くはないし、学生が多いわけでもないので、県庁所在地には大学もたくさんあるということで、それほど有名ではないと思われたが、理学系の研究チームがたくさんあり、そのために、著名な教授がたくさんいることで、
「K大学志望」
 という高校生が最近はどんどんと増えてきて、実は、静かなブームとなっていた。
 彼らのほとんどは、大学を卒業しても、就職するわけではなく、大学院に進んだりして、そのまま大学に残り、研究者の道を進みたいということのようだった。
 だから、大学自体は小規模で、そういう意味でも、
「狭き門」
 と言ってもいいだろう。
 だから、逆に、
「研究者の道に進みたい」
 という固い意志を持っている人でなければ、最初から、
「K大学志望」
 などと言ってくる人もいないわけで、この大学は、他の大学とは、
「一線を画している」
 と言ってもいいだろう。
 しかも、この大学での研究には、ひそかに国からの期待を受けている。
 国の方針を受注することもあり、それにこたえるというのも、この大学の、
「重要な使命」
 ということであった。
 ただ、教授の中には堅物な人もいて、
「国のためなどに、誰がするか」
 という、人も結構いる。
 だから、
「国家プロジェクト」
 というものを専門に行う連中は、学部を分けて行うのだ。
 つまり、
「受注部」
 とでもいえばいいのか、
 彼らの場合は、国家プロジェクトだけではなく、企業からの受注も引き受ける。
 何といっても、大学にはお金が必要で、その受注によって得られた金で、
「さらなる研究費用や、機材の購入に充てられる」
 ということで、
「受注部」
 の役目は重要だった。
 それ以外の学部は、これもまた二つに分かれえる。
 一つは、
「闇の受注部」
 と言ってもいいところで、
「ここは、大っぴらには発表できない受注を受け付けている」
 というところである。
 こういう研究は、最初から発表しておいて、活動する内容を表向きにしておいて、裏では、すぐには、公表できない内容の研究を行っているという人も多いのだ。
 だから、企業によっては、表向きの内容を受注部に依頼しておいて、
「本来の研究を、闇の受注部に依頼する」
 ということになる。
 それを、
「いかにうまくできるか?」
 ということが重要であり、そのあたりは大学の方でも、長年の継続で身に着けている。
 この体制は、そもそも、戦後くらいから始まっていた。
 戦後の混乱期の、占領軍が、ひそかに日本国内で、研究を行うということにしておいて、敵対国も目を欺いていたということだ。
 何といっても、戦後というと、
「東西冷戦」
 というものがあった。
「対社会主義国」
 ということで、やつらとのスパイ合戦もなかなかシビアなもので、しかも、時代は、核開発時代、研究が漏れるなどということはあってはいけないことであった。
 それを考えると、
「いかに、研究を進めるか?」
 ということが大きな問題だった。
 日本のように、戦争で焦土と化し、生き残った国民は、混乱の中、これからの復興に必死になっていたのだ。
 そういう意味で、
「日本ほど、極秘裏に何かができる国ではない」
 ということであった。
 ソ連が、アメリカとの密約で、
「ドイツが降伏して数か月経ったしかるべき時期に、満州に攻め込み、宣戦布告をする」
 という約束ができていた。
 そもそも、日ソ間では、
「不可侵条約」
 というものが結ばれていて、しかも、
「勝ち目はないと悟った政府は、水面下で、連合国との講和を画策し、その仲介役ということで、ソ連と交渉をしていた」
 というのだから、そのソ連が攻め込んできたと分かった時、
「もうダメだ」
 ということで、無条件降伏を受け入れることになったのだ。
 もちろん、ヒロシマ、ナガサキといった、
「原爆投下」
 というのも、その大きな理由ということであったが、やはり、
「仲介がうまくいかない」
 というのが、最大の理由だったのではないだろうか?
 アメリカとしても、
「戦争を早く終わらせるために、原爆を使用した」
 という、
「表向きの大義名分」
 を表に出しておかなければ、
「悪魔の兵器を使った」
 ということで、国際的な非難を浴びてしまうので、
「ソ連の参戦」
 というものに、アメリカが介入したということを知られたくはなかったのではないだろうか?
 だが、実際に、
「ソ連の存在が、戦後における、東西冷戦という構図を作ってしまったのは間違いないことで、そこに、核兵器による、核開発競争というものが、その一番の問題となったことは、アメリカにとって、皮肉なことだったのかも知れない」
 実際に、ソ連が満州に攻め込み、それが結果的に、
「日本の無条件降伏に繋がった」
 というのだから、ソ連も、戦争終結に貢献したということで、戦後処理には黙ってはいない。
「朝鮮半島の分割統治」
 というのは、最初から言われていたことであったが、ソ連は、
「北海道がほしい」
 と言っていた。
 これは、さすがに、アメリカも承知しなかった。
 日本を、ソ連以外の連合国で占領する」
 という目的があったのかも知れない。
 その理由として、
「日本を、アメリカの前線基地にする」
 という目的が裏にあったのではないか?
 と今から、当時の歴史を顧みると、そう考えられるといってもいいだろう。
 朝鮮半島の分割統治によって、
「朝鮮戦争が勃発する」
 日本にいる、占領軍とすれば、
「まさか、北朝鮮が攻めてくる」
 などということを想像もしていなかったというのが、歴史の表であるが、果たしてそうなのだろうか?
 確かに、韓国軍には、ほとんど武器はなく、実際に、中国はソ連から、武器弾薬を供給され、軍事訓練も受けている北朝鮮軍に攻め込まれれば、ひとたまりもない。
 ソウルは実際に、三日で陥落したということであるが、
「まさに、占領軍の考えが甘かった」
 ということである。
 しかし、これは、本当に予知できないものだったのだろうか?
 考えてみれば、アメリカは、
「真珠湾」
 という前例があった。
作品名:研究による犠牲 作家名:森本晃次