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令和七年随想録

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その5


家の前に燃えるゴミを出す時刻はまだ外は暗い。
門の板戸を開けて右、左と見ると、人けがなく近隣の家々の前にはゴミ袋が出ていない。
おお寒!とガウンの衿を立てて小走りに部屋に入ろうとした時ふと見上げると、夕べの満月が残っていて間もなく雲の中に隠れようとしていた。写真に納めたいなという気がしたが風邪を引いたらいけないので諦めた。

煌々と輝いていた月の残像を俳句に詠もうと胸中でいじくり回していたがやめた。ゆうべ提出の10句を短冊に書き終えて句会用のバッグにしまっている。
今日は句会。
去年の12月最後の句会から随分日が経っているので久しぶりの気がする。楽しくもなくそれでいて不快なこともない句会。句会とはそういう淡々としたものなのかなと思う。
今日も亦選句される句は少ないだろう。
こういう些細なことで一喜一憂している内はまさに現実を生きている証し。
現実の中に居れば不安はないのだ。


 
つづく





作品名:令和七年随想録 作家名:笹峰霧子