令和七年随想録
回想 その1
最近未来のことよりも過去へ思いを巡らすことが多くなった。
一般的には、そういう思考は年を取ったからといわれるが、年を取ってから色々思い出すのは楽しいものだ。
寂しかったことでも過去のことは懐かしく思える。私は客観的にみると寂しい環境で育ったと思うが、その一つ一つがとても貴重で、懐かしくて、もう一度その時に返りたいと思うことがいっぱいある。
友達に言わせると、私は「昔のことをよく覚えているね」、だそうである。そういう友達は昔のことをほとんど覚えていないのだそうだ。
思い出が一杯詰め込まれている引き出しと空っぽのそれとどちらが老後の生活を楽しめるだろうか。
私はその一つ一つを長編小説や短編に残している。
架空の創作は苦手なのでこれまでほとんど私小説ばかり書いて来た。