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積 緋露雪
積 緋露雪
novelistID. 70534
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THE [FIRST] BOOK OF URIZEN

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9. ロスは真黒き悪魔の周りで呻きながら泣きし
そして、彼の持ち場を彷徨きつつ、苦悶のために、
ユリゼンは脇腹から裂かれし、
そして、彼の足下には底知れぬ空虚
そして、猛烈な炎が彼の棲処から立ち昇りし

10.しかし、ユリゼンは巌のやうに横たはり眠りにつく
無機物となって、「永劫」から裂かれし

11.「幾つもの永劫」曰く、これは何か? 「死」
ユリゼンは土塊になりし。

12. ロスは茫然自失の中で呻きし、
呻きし! 歯軋りし! 呻きし!
捥ぎ取られし断片が癒やされしまで

13. しかし、ユリゼンの苦痛は癒へることなく、
冷え、何の変哲もなき、肉と土塊、
悲惨な変化とともに裂けし
彼は夢のない夜に横たはれり

14. ロスが彼の炎を目覚めしまで、恐れさすけり
形なき無際限の死で。

第四章[a]

1. ロスは驚愕に苛まれし
骨を戛戛と鳴らし怯えけり

2. そして、地獄の炎で
不死の狂った憤怒で震へ上がらせり

3. 旋風の数数の中に、そして、瀝青、そして、硝石が
ロスの憤怒の四肢の周りに

4. そして、ロスは網と罠を作りし
そして、辺りに網を投げたり

5. 彼は身震ひする恐怖の中監視せし
暗黒は変化し、そして、あらゆる変化を束縛されし
鉄と真鍮の留め金で

6. そして、これがユリゼンの変化でありぬ

第四章[b]

1. 幾星霜が経ちて彼は寝返りを打つなり!
巌のやうな眠りの時間が経ちて彼は寝返りを打つなり!
一つの真っ暗な荒涼とした光景が移り気で伸びをした如く
地震で地割れを起こし、暗くくすんだ炎を噴き出しつつ
年月を重ね不気味に年月は逆巻し
陰鬱な劫罰、暗黒の旋風群の中、彼の周りでは
永劫の「預言者」は咆哮せし
彼の鉄の鋲が尚も打ち続けられし
熔けし液体の鉄を注がれつつ、分かれながら
監視するにはぞっとするやうな夜。

2. そして、ユリゼンは(それは彼の永劫界での名)
彼の実り多き悦びは更に更に暗くなりぬ
暗黒の闇に秘匿されり、感情は高ぶりつつ
地獄の硫黄の流体には彼の幻影の数数が
永劫の「預言者」の下は暗黒の鞴を吹きし
そして、火箸を休みなく回しぬ、そして、鎚は
絶え間なく叩かれし、新たに新たに鎖を鍛錬し
その環を数へつつ。何時間も、何日も、そして、何年も

3. 繋がれし永劫の精神は巻き始めぬ
激怒の渦を、途絶えることなくくるくると
そして、硫黄の泡はどろりと迸りながら
固まりぬ、一つの湖、輝き、そして、透明に輝きながら
山脈の寒冷地帯では雪の如く真白く。

4. 忘却、黙狂、必然!
精神の鎖に雁字搦めとなりし、
お互ひ身を縮こませし氷の足枷の如し
分裂さりぬ、「永劫」から引き裂かれし、
ロスは彼の鉄の足枷を鍛錬す、
そして、溶鉱炉を温め、そして、注ぎぬ
どろどろに熔けた鉄とどろどろに熔けた真鍮を

5. 不死から解き放たれ不安に苛まれし
苦痛で大きく波打ち! 激しい苦痛! 忍耐を超え
頂点が毛むくじゃらの野生として閉ぢ込められるまで
一つの球体の中に、彼の知性の源泉。

6. 恐怖の悪夢を見るやうな微睡みの中、
地獄の鎖に繋がれり如し、
巨大な「背骨」が拷問に身悶えす
風風の上で、づきづきする痛みが走りぬる
肋骨を、彎曲せし巨大ながらんどうの如し
そして、硬い骨、凍り付きし
彼の悦びの神経細胞全てに亙て。
そして、第一の「時代」が過ぎし、
そして、暗鬱な深い悲しみの状態。

7.「背骨」に接合せし巨大ながらんどうから、
赤色をした恐怖が沈みし
丸い球体は熱く燃え盛りながら、深く
深く「深淵」へと沈み込みし、
喘ぎ、球体になりし、身震ひしながら
一万もの枝枝が芽を出しながら
彼の硬い骨の周りの。
そして、第二の「時代」が過ぎ去りし
そして、暗鬱な深い悲しみの状態。

8.痛ましい恐怖が逆巻く中、
彼の神経質な脳は枝枝の芽を出しぬ
彼の心臓の枝枝の周りの。
上部に二つの小さな球体
そして、二つの小さな洞窟が固定し
風から大切に隠しながら、
彼の「目」は深淵を見るなり、
そして、第三の「時代」は過ぎし
そして、暗鬱な悲しい状態。

9. 希望の激痛が始まりぬ、
重重しい痛みと闘ひ、奮闘す。
閉ぢし螺旋の中に二つの「耳」。
幻視する彼の球体の下から
勢いよく飛び出し石化せぬ、そして、身震ひさせるなり
それらが成長するにつれ。そして、第四の「時代」が過ぎし
そして、暗鬱な悲しい状態。

10.ぞっとするやうな苦悩に病んで、
風にしがみ付きつつ、
二つの鼻孔が深淵へ向かって曲がりぬ。
そして、第五の「時代」が過ぎし
そして、暗鬱な悲しい状態。

11.ぞっとするやうな苦悩に病んで、
彼の肋骨の内部に脹らますなり、
一つの渇望せし「飢ゑたがらんどう」、
それから彼の水路のやうな「喉」が生じるなり、
そして、赤き炎の如し「舌」
渇きの、そして、飢ゑのが現れし。
そして、第六の「時代」が過ぎし、
そして、暗鬱な悲しい状態。

12.湧いてくる憤怒、そして、激しい苦痛を押し殺し
彼は右「腕」を北へ投げ出し
彼の左「腕」は南に投げ出しぬ
ぞっとする深淵へ突き出しながら、
そして、彼の「足」は下の「奈落」を踏み付けぬ
身震ひし、そして、呻きながら、そして、暗鬱に。
かうして第七の「時代」が過ぎ去りし
そして、暗鬱の悲しい状態。

第五章

1.恐怖でロスは彼の仕事から飛び退きし、
彼の巨大な鎚は彼の手から落ちぬ、
彼の炎が睨み、そして、病気になりぬる、
煙の中に彼の強力な四肢が隠れぬ。
それに対して騒音の潰滅する大音響を伴って、
衝突音、そして、衝撃音、そして、軋む音を伴って
不死のものは彼の鎖に我慢し、
かやうにして恐ろしい眠りに囚はれり。

2.数多の「永劫」の全て、
智慧の、そして、生の喜び全て、
彼の周りに海の如く逆巻く、
彼の小さな球体を除いては
折り畳まれしものが広げられるほどに見えるといふ。

3.そして、彼の不死の生は
夢の如く消え去りぬ

4.ぞっと身震ひしながら、「永劫の預言者」は打ち叩きし
一撃を以てして、彼の北から南の領域まで
鞴と鎚は今は鎮まりけり
落ち着いたしじまに、預言者の声は
連れ去られり、凍て付いた孤独と暗黒の空虚に
「永劫の預言者」とユリゼンは口を閉ぢけり

5.時代の上に時代が重なり時代は横転せし
生から切り離され光は凍り付きし
見るも恐ろしい畸形の形に
ロスは炎を消すのを許しぬ
それから彼は怖い物見たさで背後を振り返りし
しかし、空間は存在によりて合体してをりぬ
彼の魂には恐怖が襲ひし。

6.ロスは死者へ弔ひを以てしてもう見えなくなってしまったものに対して嘆きぬ、
溜息で彼の下では地震が起きたり、
彼はユリゼンが恐ろしい暗黒になったのを見し、
彼の鎖に縛り付けられ、そして、「憐憫」が生じぬ、

7.ぞっとするやうな分裂にして分裂を繰り返し
それといふのも憐憫が魂を分裂せし
永劫に永劫が激痛を伴ひ重なりて
彼の懸崖に注ぎ落ちし瀑布の中には「生」
空虚は「神経繊維」にリンパをして縮こまりぬ
夜の胸奥では不可思議な広がりが
そして、血の丸い球が残りし
「空虚」の上で震へながら
かやうにして「永劫の預言者」は分裂せし
ユリゼンの死した幻視以前に
作品名:THE [FIRST] BOOK OF URIZEN 作家名:積 緋露雪