残 像
想い
長い間
ずっと彼の文字だけを
追いかけてきたので
彼の好むことや
こんなことをしたら
彼の逆鱗に触れるであろうことまで
自分なりにわかってる《つもり》
《つもり》なのは
実際に触れたことがない人だから
それは体感ではないってこと
彼には特有のプライドがあって
「弱みを見せない」という気質を
無理に突いてすべてを包み込んであげたいとか
そんな慈母のやさしさをむき出しにすることも
彼は好まないことも知っている
こうやってそれぞれに恋をして
その時々の想いをさらけ出しながら
別々に平行した時間を過ごしてきたけど
その想いが違う輝きを増しながら
まだこの手にあるということが
うれしくてしかたないあたしなんです