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黒歴史

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「拉致してくる」
 というものだ。
 相手国の人間を拉致してきて、その国の風俗習慣を自国の人間に教え込み、
「新しいスパイ」
 というものに、そのスパイをする国の風俗、習慣を教え込まなければ、新たなスパイを育成しても、活動に制限が掛かってしまったり、相手に、
「スパイだ」
 ということが見抜かれてしまう。
 そうなると、
「行動ができなくなる」
 というだけではない。相手国は、
「国連などの機関」
 に対して、
「当該国が、スパイを送り込んだ」
 ということを訴え、相手国を、
「国際的に抹殺しよう」
 と考えることだろう。
 さすがに、
「スパイを送り込んだ」
 などということが分かれば。国際社会も黙ってはいない。
 それなりの制裁があっても仕方がないだろう。
 だから、
「国内でも、スパイの存在を認める認めないは別にして、国民に注意を促すのだ」
 もっし、スパイの存在を認めてしまうと、
「政府は何をしているんだ?」
 といって、政府批判になりかねないからだ。
 しかも、国内は、軍主導での、戦時体制に向かっているという場合であれば、
「まわりを疑って、猜疑心の塊になってしまう」
 などということは、戦争完遂には、程遠いことになるだろう。
「戦時体制を維持する」
 ということができなくなり、皆疑心暗鬼で、政府すら信じられなくなり、国内が混乱して、
「軍事クーデター」
 なるものが発生しても、無理がないということになるに違いない。
 そうなってしまうと、
「相手国の思うつぼ」
 ということで、
「亡国は、内部から崩れる態勢によって、引き起こされる」
 ということになり、まわりの国が介入してくると、完全な、
「占領状態」
 ということになり、史実としての、
「無条件降伏」
 ということと、結果は同じになるだろう。
 ただ、
「戦争というものでの敗戦と違い、非合法での国家転覆ということなので、その混乱がどういうものになるか、想像もつかないだろう」
 特に、世界でも、
「先進国」
 あるいは、
「大国」
 と言われるようになったところは、そうも言っていられない。
 そうなってしまうと、
「黒歴史」
 などという言葉で、片付けられるものだといえるだろうか?
 そんな、
「スパイ」
 を送り込む、
「諜報活動」
 というのは、当時の世界において、いかにひどいものであったのかというのは、今の時代の、特に日本人には想像もつかないだろう。
 ただ、今の時代は、
「国家間による、諜報活動」
 というものは、基本的にはないといえるだろうが、
「企業間においては、結構あるだろう」
 そういう意味で、公安という部署があり、そこで警察とは別に捜査を行う機関があるというのは、
「今の時代ならでは」
 といってもいいだろう。

                 大団円

 今回の目撃者であったり、これまでに行方不明になったのが、
「事件の目撃者」
 という共通点はどこにあるのだろうか?
 ただ、これに関しては、
「今に始まったことではない」
 ということであった。
「国家というものが、どのようなものなのか?」
 ということを普通の人は分からない。
 しかも、これほど強大なものであれば、
「国家体制がどれほどのものであるか?」
 というのは、
「学校の勉強」
 というもので、教えきれるものではない。
 特に、今のように、
「受験戦争」
 というものがあり、試験試験で
「入試のための勉強」
 というものが蔓延ってくると、
「本来の意味での教育」
 というものがどういうものなのかということは分からなくなっているといってもいいだろう。
 今の社会では、
「勉強を教えることはしても、政治や経済という大切なことはほとんど知らない」
 という社会になっているのだ。
 というのは、
「歴史や地理」
 などの教科に詳しかったりすれば、
「教養が深い」
 と言われるが、
「政治、経済、宗教など」
 というものの話をすると、
「やめてくれないか」
 と言われる時代である。
 というのは、
「そんな話は、誰もついてこないので、面白くない」
 ということになり、話をしただけで、嫌われるということになる時代である。
 だから、誰も、政治経済、そして宗教にかかわろうとしないのだ。
 特に新興宗教のたぐいは、一部であろうが、
「テロ組織」
 であったり、
「詐欺集団」
 という目で見られているのがその原因であろう。
 政治に関しては、やはり、
「腐り切った政治家」
 というものが大きいのかも知れない。
 まず間違いなく、政治や宗教の話題をすると、
「後ろ向きな話」
 であったり、
「国家への悪口」
 に繋がるからだ。
 それはそれで悪くはないのだろうが、話を聞いている中には、
「あまりネガティブな話」
 というものであれば、それを聴いているだけで、どうしようもない状態になるという、「一種の精神疾患」
 に陥ってしまう人がいるからだ。
 実際に精神疾患の人が今はたくさんいて、それらは、昔の精神疾患というものよりも、ひどい状態で、
「下手をすると伝染するものなのかも知れない」
 とも考えられる。
 それを考えると、
「政治や宗教の話はタブーだ」
 ということになっても当たり前のことだ。
 しかし、かつての大日本帝国時代であれば、今の時代の人に比べ、皆、軍や政治のことを分かっているのではないか?
 特に軍に対しての認識は、今の人間の政治に対しての認識に比べても、
「いや、知っていれば博識といわれる、歴史などに比べても、かなり分かっていたのではないか?」
 と思われる。
 それだけ、
「真剣に生きていた」
 ということではないだろうか?
「洗脳されていた」
 と言われればそれまでなのかも知れないが、それだけではなく、
「国家というものをそれだけ真剣に考えていたのだろう」
 今の民主国家から見れば、大日本帝国は、
「亡国に導いた」
 ということで、
「あの時代に戻ってはいけない」
 ということになるのだろうが、
「真剣に国を憂うる気持ち」
 というものを見失ってはいけないだろう。
「靖国問題」
 などもそのしかりであり、
「いい悪い」
 という問題でいえば、あきらかに、今の時代は、
「まだ戦後を引きずっている」
 といってもいいのかも知れない。
「独立国家になって何年になるというのか?」
 まだ、
「太平洋戦争」
 などという言葉を使っているではないか。
 少なくとも、
「大東亜共栄圏」
 という大義名分があり、閣議決定された、
「大東亜戦争」
 という言葉を使わずして、本当にいいのだろうか?
 それを考えると、
「亡国に向かっているのは今であり、それも、自分から崩れていっているのではないか?」
 ということであった。
 そういう意味で、
「行方不明者は、何かの諜報機関のせいではないか?」
 と桜井刑事は考えていたが、
「それは、少し突飛ではないだろうか?」
 と考えるようにもなってきた。
 それがなぜなのかと考えると、
「いろいろな見方が出てくるのではないか?」
 とも考えられるが、
「黒歴史」
 というものから考えると、別の考え方が出てくるのであった。
作品名:黒歴史 作家名:森本晃次