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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
novelistID. 69613
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑬富士山五合目とその周辺

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※タイトルの「悠々日和」は「のんびり」の当て字、時々は「きままな」とも読む

 2024年12月の今、これまでの車中泊を伴う「キャンピングカーの旅」は約30回を数える。1泊2日の「ちょっと行ってきたもの」もあれば、「50日間の長旅」もある。
 前回の紀行文の「信州と富山の旅」の2ヶ月後に行ったのが、この「富士山五合目とその周辺」の旅で、妻との久し振りのふたり旅だった。

 その紀行文の執筆を始めようと記憶をたどってみたところ、断片的というレベルではなく、ほんの幾つかの記憶しかなかった。
 その理由は、この旅から今日までの3年間で、約20回もの旅に出掛けていることから、この旅の記憶が抜け落ち、他の記憶で上書きされ、残っている記憶は希薄になっていた。
 そんなものだと思いながらも、記憶力が落ちてきているのではと不安が過ぎり、それは齢を重ねた結果で仕方がないと自分に言い聞かせても、かなりのショックだ。それがセカンドライフの今、なのかもしれない。

 この旅では、どこを走って富士山に向かったのか、どこで泊ったのか、どの温泉に入ったのか、何を食べたのかなどを殆ど憶えておらず、すぐに思い出せないことに愕然としながらも、記憶の片隅に残っていることを、指を折りながら数えたところ、親指と人差し指だけで、中指以降は伸びたままだった。

 最初の記憶は、走っている「ジル(バンテック社のキャンピングカーの車名)」の助手席に座っていた妻が撮った富士山の写真だった。
 それは、高速道路の照明や案内標識のポール、そして沿道の木々が、富士山の手前にちょうど写り込んでしまった写真ばかりで、それほどまでに偶然が重なるとは、ふたりして大笑いした。そのことも、しっかりと思い出した。
 二つ目は、初めて行った山梨県側の富士山の五合目の建物で、その山小屋風な景観がたいへん印象的だったためだ。

 しかしながら、このふたつの記憶だけでは紀行文の執筆に着手できない。
 そこで、旅の中で書き残した「旅のメモ」を紐解いたところ、3年前のことが3日前の出来事のように思い出された。
 加えて、パソコンの外付けのHD(ハードディスク)に保管している「キャンピングカーの旅」のホルダーに入っているこの旅の写真を見たところ、旅のその時、あの時のことをしっかりと思い出すことができ、何かをトリガーにすれば、まだまだしっかりと思い出すことができる自分自身に安堵した。
 とは言いながらも、写真の中には、記憶にない風景などがあり、妻に訊いたところ、その時のことを思い出しつつ話してくれた。妻は私よりひとつ若い。