㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第3話 ㊙ 高原料亭
5話 ヨロヨロと
木々の合間を100mほど前進しますと突然視界が大きく開かれました。前方には真赭(まそほ)の芒(すすき)の高原がダツ・ダツ・ダーと広がっていました。すぐに私たちはそれらをかき分け小道を見つけ、ツユスケの報告通り北へ北へと歩みを進めたのであります。
そしてほぼ2kmの地点に到着。そこは少し高台で前方が開かれ、一望無垠(いちぼうむぎん)でありました。
さらに焦点を絞りますと、確かに300mほど先に青く澄んだ碧水(へきすい)の池があり、その水際に朽ちかけた屋敷が確認できました。
ここまではツユスケの報告通り。されどもそれになかったのは、池中央に小さな島があります。そこには高さ10m以上あるでしょうか、一本の木、いや不明ですが、空へと伸びていました。
「ツユスケ、1千年先を行くロボでも見落とすことあるんだな」と言ってやりますと、「スンマヘン、弘法も筆の誤り、『Kobo was also a mistake.』の最初の『K』を『R』に変えて下され、洋一殿」とどこまで行っても屁理屈野郎だ。
そんな時でも冷静な奈那最高経営責任者兼社長は「皆の者、何はともあれ前進あるのみぞ、栄光は我らに輝く!」と素晴らしい決断を。だけどね、そこはかとなく漫画チックなんだよなあ。
しかれども私たちはワンチーム、「仰る通りです」と拳を天に向かって突き上げて、疲れてた足を余計にカックンカックンさせながら、かつヨロヨロと真赭の芒の坂を下りて行ったのであります。
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第3話 ㊙ 高原料亭 作家名:鮎風 遊