㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第3話 ㊙ 高原料亭
4話 鬨(とき)の声
「奈那社長、ここの林を抜ければ一面ススキの野っ原があります、そして子(ね)の方角、半里先に澄んだ池があり、その水辺に朽ちかけた屋敷がありました」と。
私はこれに「またまた尺貫法かよ、俺はもう分かるぞ、北に2kmって事だろ、AIロボットだからといって現代ホモ・サピエンスをなめんなよ!」と言ってやりました。これを耳にした奈那社長、「あらっ、そんなに賢かった?」とさらりと疑問符を。
そして間髪を入れず、「ところで、ツユスケ、そこに人はいたの?」と問われました。これにツユスケは「くたばり気味の高等生物、2匹を確認致しました」と。
この報告にヤッチンと私が「ホッ、ホー、面白くなりそうじゃないか!」と。するとほぼ同時に奈那社長から「そこへまず行ってみましょう、ツユスケ君、道案内をよろしくね、さあ、皆の者、出発じゃ!」と命令され、鬨(とき)の声「えい、えい! えい、えい!」と発せられました。
これに一同は「おう、おう、おう」と三回応え、その後露払いの助を先頭に私たち一同第一歩を踏み出したのであります。
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第3話 ㊙ 高原料亭 作家名:鮎風 遊