小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

あなたに似た人1

INDEX|3ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 


コーヒーショップのテーブル席で、女性が二人、熱心にカタログを眺めている。
昼を少し回った時間帯、大方の客は自分の職場に戻り、店内は落ち着きを取り戻していた。

「ほら、アマンダ。これはどう?」
「うーん。素敵だけど、胸が開きすぎじゃない?」

友人であるサラの示したドレスに、アマンダは首を捻る。

「なに言ってるの。このくらい普通よ。主役の花嫁様なんだから!」

サラの言葉に、アマンダはくすくす笑いながらコーヒーに口をつけた。
結婚式代わりのパーティーは来月に迫っている。今日は女友達とドレスを選ぶ予定だ。指輪は来週、愛しい婚約者と。
アマンダの幸せな空想は、サラの促す声に中断される。

「ほら、そろそろ予約の時間じゃない?」
「ああ、本当だ。行こうか、サラ」 

残りのコーヒーをあおり、アマンダは立ち上がった。サラが差し出したカタログを鞄に詰め、店を出る。

「ルロイが来れなくて残念だったわね」

横に並んだサラの言葉に、アマンダは肩をすくめ、

「来週の休みを取る為だから、仕方ないわ。指輪は絶対一緒に選びたかったし」
「そうね。ドレス選びには役に立たないだろうし。どうせ、なに着ても『綺麗だよ、アマンダ』としか言わないでしょ」

サラの物真似に、アマンダは堪えきれず吹き出した。

「ちょっと、今のルロイの真似?」
「そうよ。そっくりでしょ?」
「全然似てない!」

二人は肩をぶつけあいながら、くすくす笑う。
そして、アマンダが突然立ち止まった。

「アマンダ?」

振り向いたサラに目もくれず、アマンダは放心したように口を開き、

「あ……わあああああああああああああ!!」

叫び声をあげると、弾かれたように駆け出した。

「アマンダ!?」

サラが制止しようと手を伸ばすが、アマンダは叫び声をあげながら走り続け、そのまま道路に飛び出した。

「アマンダ!!」

サラの叫び声と、甲高いブレーキ音がほぼ同時。一瞬置いて、鈍い衝突音が響き渡る。
誰かの悲鳴を皮切りに、騒然とする周囲から置き去りにされて、サラは手を伸ばしたまま立ち尽くしていた。


作品名:あなたに似た人1 作家名:シャオ