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二重人格国家

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 それだけに、今まで、まったく反応がなかったものが、その配信画像を見て、数件が寄せられた。
 しかし、実際にはどれも違っていて、さらに、民間からの情報が多く寄せられるが、そのすべてが、
「ガセネタ」
 ということで、
「無駄足を踏んだ」
 ということになるのであった。
 いろろなガセネタを見ているうちに、門倉刑事は、
「突飛な発想すぎて、人に言えないかも?」
 と感じるところがあった。
 というのは、
「これは、本当に殺人事件なのだろうか?」
 ということであった。
 被害者がまったく見つからない」
 ということで、これが、昔であれば、
「土葬だった」
 ということを考えて、それこそ、昔の、
「探偵小説におけるトリック」
 というものを思いこさせる。
 例えば、
「顔のない死体のトリック」
 といわれる、
「死体損壊トリック」
 などがそうではないか。
 この場合は、
「成り立つという公式がある」
 といわれていて、それが、
「被害者と加害者が入れ替わっている」
 というトリックである。
 というのは、
「加害者が死んだことになれば、警察は、加害者を指名手配するだろう。しかし、本当の加害者は、死んでしまったことになっているので、加害者が捜索されることはない。しかも、本当の被害者は死んでいるので、加害者として捜索されても、見つかることはない」
 ということだ。
 それには、被害者としての身元は、
「絶対にバレてはいけない」
 ということで、
「殺人の際に、被害者の身元が分からないように、死体を損壊させる」
 というのが、
「死体損壊トリック」
 ということで、よく探偵小説で使われたのが、
「首なし死体」
 というわけだ。
「身元が分かる、首と、手首を切断してしまえば、実際に分かるものは何もなくなる」
 ということで、被害者が、誰なのか、そして、加害者は当然のことながら、その場から消えてしまうというのだから、事件としては、不気味さを演出しているし、トリックとしても、確立されているということで、
「これほど、探偵小説のネタになるということはない」
 といえるだろう。
 それを考えると、
「昔の探偵小説は、まだまだトリックの宝庫だったかも知れない」
 といえるだろう。
 今の時代であれば、基本的に、昔の探偵小説で使われたトリックを使用するというのは難しいだろう。
 というのは、
「科学捜査が行き届いているからだ」
 といえるだろう。
 特に、
「身元の判明」
 に関しては、
「首や手首がなくとも、DNA鑑定というのを行えば、ある程度まで、被害者を特定することもできる」
 という。
「白骨になったとしても、復元能力が発達してきたことで、その人のことが、昔に比べればハッキリというくらいに分かっていることだろう」
 といわれるだろう。
 もっといえば、
「それ以外の犯罪も、今では難しくなってきている」
 というのは、何も警察の科学捜査というだけではなく、それ以外の要因で、設置されたりしているものが、今の時代では、
「犯罪の抑止」
 として使われているといってもいいだろう。
 特に、
「防犯カメラ」
 などというものは、世間にたくさん溢れている。
 ビルの防犯カメラ、人の家の防犯カメラ、最近では、
「煽り運転」
 などという問題から、
「ドライブレコーダー」
 といって、車の中に防犯カメラを目的とした装置を仕掛けている人も多い。中には、標準装備になっている車もあるのではないだろうか?
 そういう意味で、
「アリバイトリック」
 というものが利かなくなってきた。
 どこにでもあるカメラにいつどこで映っているか分からない。街中には、今では、ネットの普及からなのか、
「WEBカメラ」
 というものが溢れているというのも事実である。
 ただ、実は、防犯という意味であれば問題ないのだが、今の時代には、その防犯だけではない諸問題が起こっていて、
「果たして、防犯という意味だけで、防犯カメラを増発していいのだろうか?」
 という問題である。
 一つ言えば、
「防犯という目的で、女子トイレにカメラを仕掛けてもいいのだろうか?」
 ということになる。
 それをやってしまうことは許されない。
 なぜなら、公衆トイレなのにも書いてあるように、
「いかなる理由があろうとも、女子トイレに侵入することは犯罪です」
 と書いてある。
 もちろん、
「掃除目的」
 として、権利を与えられていたり、中から、
「助けて」
 などという悲鳴が聞こえてきたり、さらには、
「うめき声」
 などが聞こえてくるということで、救急目的ということであれば、それは仕方がないだろうが、それ以外は、不法侵入であり、さらに、画像を取ったりすれば、
「盗撮」
 ということになり、
「立派な犯罪」
 となる。
 そういう意味で。女子トイレの入り口くらいまでは、カメラの設置は仕方がないが、それより中は、ダメな場所ということになるであろう。
 ということと同じ意味で、
「プライバシーの保護」
 というものが、憲法で保障されている以上、そして、ストーカー事件のような、犯罪が増えてきたこと、さらには、
「ネット詐欺事件」
「ハイパーテロ」
 などから守るために、
「個人情報保護」
 という観点が生まれてきたということである。
 それを思えば、
「犯罪というのは、もろ刃の剣だ」
 ともいえるのではないだろうか?
「何を守るべきか?」
 どれが大切になってきているのである。

                 特殊警察

 さすがに今の時代に、
「顔のない死体のトリック」
 などというものが通用するとは、犯人も思っていないだろう。
 実際に、そんな犯罪を犯したとして、できるわけはない。トリックを生かすというよりも、何かの話題性でもあれば分かるのだが、それもやはりおかしな話だ。
 とにかく、被害者が誰か分からない。となると、当然、犯人にたどり着こうにも、今のままでは、
「殺人事件」
 として、捜査を維持していくのも難しいだろう。
 かといって、
「自殺でもなければ、変死でもない」
 ということになれば、どうすればいいのか?
 警察としても、こんな不可解な犯罪は初めてだった。
 ただ、実はこの犯罪には、
「裏」
 があったのだ。
 これは、捜査陣には知らされていないことであり、警察の中にある、公安との共同捜査となる、特に、
「国際的な犯罪」
 であったり、
「犯罪組織」
 として、
「警察では手に負えない」
 と思われる捜査陣に任されていた。
 特に、
「ある種の反政府組織」
 というものがあり、この組織は、各国に存在している似たような組織が、彼らなりに暗躍することを目的としたネットワークのようなものができていた。
 今回の事件でも、その特殊組織がかかわっているということが、実は、結構早い段階で分かっていたのだ。
 それは、初動捜査の段階、つまりは、
「指紋の採取で分かっていた」
 といえる。
 警察のデータベースから、その被害者の指紋が検出されなかったのは、最初から、
「国際テロ組織の一員」
 ということで、その指紋は、
「特殊警察」
 を管理している、
「秘密公安部」
作品名:二重人格国家 作家名:森本晃次