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ボクとキミのものがたり

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リビングに戻って、卓袱台の上の紙を拾い上げた。
キミと出逢って、初めてじゃないだろうか……。
ボクは、机の前で読み返す。上手いとか そうでないとかなんて関係ない。
キミから生まれた言葉が此処にある。
それだけで、此処にキミが居てくれるような気がする。
広げた原稿用紙に ボクもちょっと悪戯書きでもしてみよう。


【12小節の想い】

キミに恋。つたえたい ことばが みつからない
ほほえむ キミに うれしく なるけど
ほんとの きもちが かくれて みえない
キミにキス あふれる スキを おくろう ♪♪♪♪~


原稿用紙に 書いてみた。
「これが、物書きのらくがきか? こりゃ見せられないな。ははは」
ボクは、原稿用紙を丸めて机の端に置いた。
要らない原稿なら丸めて ポイするボクだけど、キミのことを書いた言葉をゴミ箱に投げ入れる気持ちにはなれなかった。

キミが、帰ったリビングの窓から 外を眺めた。
「きっと明日も晴れるよね…てるてるぼうずでも作ろうかな」
ボクは ひとり呟いた。
丸めた原稿用紙を頭にしてキミの書いた包装紙で包み、菓子のリボンを結んでみた。
ボクの部屋の中に吊るしておこう。
いつもキミが、見つめてくれているようにと願いながら。

キミの書いたらくがき。
青い傘はてるてるぼうずの気持ちに気付いていたのかなぁ…
なんてことを思い浮かべながら、原稿に書き始めるボクが居る。
ただそれだけなのに……。


     ― Ω ―


作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶