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ボクとキミのものがたり

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リビングの照明が差し込む奥にキミを見つけた。ボクは、壁にあるリモコンでリビングの照明を落とし、もう少し扉を開けた。
床に座り込み コートを掛けて丸まっているキミは、あの硝子に描かれた天使のように口元に笑みを浮かべているように見えた。だけど、コートの衿の辺りに色濃くなっている部分があった。まつげが一瞬煌めいた気がした。
(泣いていたの?)そういえば、夢うつつにしゃくりあげるキミの声を聞いたような気がした。きっと、キミはボクを起こさないようにと抜け出し、此処で声を殺して泣いていたのかもしれないと思った。
ボクは、引き戸を数センチ開けて閉め、リビングのエアコンのスイッチを入れると照明を消して部屋へと戻った。 

キミが、心から笑っていられる日々をボクが作ってあげる。
そんな大層なことを言うつもりはないけれど、
ふたりで居れば何かいいことがあるんじゃない。
くらいは言ってもいいかな。

ボクの上に降りてきた天使は『にゃお』と啼く可笑しな女の子。
ふわふわの羽も頭の環っかもないけれど、笑顔が素敵な女の子。
ただそれだけなのに……。

愛しくて たまらない


     ― Ω ―


作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶