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ボクとキミのものがたり

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部屋に連れてきてから、いつの間にか寝息を立て始めたキミを どうにかする気も起きないほど、キミの寝顔は、和らいで 可愛くて ボクの天使に見えた。(言い過ぎかなぁ)
ボクは、ダウンジャケットが掛けて 別の部屋で寝てしまったが、翌朝には、キミが消えていた。本当に エンジェルなのか と暫く考えてしまった。
でも、とりあえず真っ直ぐ家に帰ったと聞いて、今更ながら安心した。
そのあとも 悲しい気持ちになっていたんだね。

「私でも…何かしてあげられることある?」
「いっぱいあったよ」
「どうしたらいいかわからない。でも いつも傍にいれば、何かわかるかなって思った」
「そう」
「ワタシが、この部屋を訪れるわけは ただそれだけ……」
「そう」
「そう、それだけなの……」
キミを後ろから抱きしめているボクの腕の上に、ぽたぽたと温かな雫が落ちてきた。
泣きたいの?もう悲しくなんて思わなくていいのに……でもそれで気持ちが晴れるなら
ボクはこのまま キミを腕の中に包んでいてあげようと思った。

「胸 貸して…くれる?」
ボクは、何も答えず、キミが振り返りボクの胸元に顔を埋めるのを受け止めた。
キミの我慢できずに零れた声をじっと天井を眺めながら聞いていた。

暫くして二、三度しゃくりあげたキミは、ボクの胸元から離れると、自分が濡らしたシャツの染みを撫でながら、笑った。
「濡らしちゃったね。ごめんなさい」
「あーあ、ボクの大切な一着だったのに。こりゃ罰だね」
「にゃん?」
「キスしよ」
「にゃん?」
「いいから、キスしよ」
「にゃぁーん」
(もうじれったいな)ボクは、キミの意思など構うものかと唇を押し付けた。
ちょっとしょっぱい口元は、何だか新鮮だった。
「顔 洗ってくる」
キミが、洗面所に行く後姿を目で追いながら、もしや しょっぱさは涙だけではないかもと眉間に皺を寄せたボクだった。

作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶