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ボクとキミのものがたり

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「ごはんの時間だよね……」
キミの戸惑った表情が たまらなく可愛い。ごはんだって苺だって キミと一緒ならボクには栄養もばっちり! 満腹と満胸とは言わないか… 感無量さ。
「せっかくだから 苺いただくよ」
キミの笑顔が 満開だ。目の前の苺よりも赤くなった(ような)頬が またいいなぁ。
ボクは、どちらにつられたのか 卓袱台のところに座った。
「はい、あーん」
「あーんってねぇ」
「だって、甘いかどうか、とりあえずそのままね。誰も見てないから。はい、あーん」
そういえば、毎回こんな調子だったかな。キミに言われるままにボクは口を開く。
しかし、こればかりはいつになっても 誰が見ていようと見ていなくても、恥ずかしい。
口の前にキミの指先に摘まれた苺を食べようと口を近づけた。
「あ、指食べちゃ駄目だよ」
そういえば、これも毎回こんな調子だ。
「あはは。うん、食べないよ。でもなぁ」
「にゃん?」
「これ、食べてくれないと答えられないかも」
ボクも苺を摘まんで キミの口の前に差し出す。
「そっかぁ そうなんだぁ」
相変わらずちぐはぐな会話が 楽しいひとときを作る。ボクの息抜きの時間だ。

キミの口がボクの持つ苺を待っている。(どうしようかなぁ)
ボクの指ごとキミが パクッ。(あ、やられた)
ボクも慌ててキミの指ごと…… (あ、逃げられた)
ニャハハハ・・・
まったく 何て笑い方してるの、可愛くてしかたないじゃないか。

苺の潰れた汁で指先が赤くなる。
「苺って 外側につぶつぶな種があるでしょ。なんだか ニャハハハ・・・」
笑い茸っていうのは聞いたことあるけど この苺は大丈夫かなぁとボクは心配する。
キミにとっては何でも愉しいんだね。
ニャハハハとまだ笑いながら、涙まで浮かべているキミは 何度も深呼吸を繰り返し、やっと何とか話始めた。
「ねえ、何かつける? 練乳? お砂糖?」
「このままで じゅうぶん甘くて美味しいよ。はい、あーん」
このボクとキミの様子を誰かが見たらどう思われるかなぁ。
そんな心配すらどうでもいいほど ボクは日常が遠ざかって感じた。

作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶