ボクとキミのものがたり
キミが、満面の笑みを浮かべて頬張っている。ボクの存在など薄れていきそうだね。
でもボクは、キミの苺を食べている姿を想い出の一ページに綴っておこう。
そしていつか そのページを開いていっしょに笑える……
いや まだそれは口にしないでおこう。
なんてことを思いながら、たくさんあったはずの硝子の器の中の苺を眺めるボクが居る。
こんな小さなものが 幸せをいっぱい広げてくれるなんて思いもしなかった。
よく熟れた真っ赤ないちご色の苺。
ただそれだけなのに……。
― Ω ―
作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶