㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森
9話 忍者フンワリ君
丸太小屋の外へと出るとそこに大きなテラスがあり、<ここからビーナスの森>と表示されたアーチがありました。そしてその奥には空中回廊が。
そしてキンカンガルさんを先頭に回廊を歩き、遂に『ビーナスの森』へと足を踏み入れました。そこは引力が弱いのか天へと伸びた木々の森でした。回廊はそれらの合間を縫ってくねくねと続いて行ってます。
「ここ地球?」、「地球じゃないぜ!」と声を上げる私たちにキンカンガルさんは明言されたのです。「ここは『金星』です」と。
先頭切って歩かれて行く、いわゆる宇宙人を、時々酸素を補給しながら後を付いて行きました。まず目にしたのは黄金色に輝く鳥。「あれは?」とキンカンガルさんに訊くと「地球上にはルリビタキ、キビタキがいるでしょ、あの鳥を地球風に言うとオウゴンビタキですよ」と。
そしてしばらくすると木々の合間に耳がピンと立ち上がった金色の野生動物が。キンカンガルさんはそれを察してか「アイツはキンキツネ」、……、だってさ。
さらに違う方向に指を指し、「あの木々の奥に数頭いるでしょ、黄金色輝くスラッと背の高い動物が、彼らが私の名前の由来であるキンカンガルーだよ、どうだべ、カッチョイイだろ」と。
こんな自慢話もありーののガイド、その他動物ではキンシカ、キンウサギ、キンイノシシ等が確認出来ました。またスーッと天に伸びた木々の根元には赤、青、黄、白の花が咲きほこってました。
「美しい、ここは宇宙の神が作った森なんだ!」と、私たちはこんな感動の声を上げました。されども「なんの、なんの、ここは単なる金星の地下ワールドのようなものです」とキンカンガルさんは破格のドヤ顔でんがな。
こんなシチュエーションに、そう言えば誰かが吠えていたよな、『驚き、桃の木、山椒の木、……、あとはブリキにタヌキに洗濯機、やって来い来い大巨人』てな感動の中で、500mほど空中回廊を進んだでしょうか、さらなる……Big Supriseが!!
木々の合間から10個ほどの大きさ50センチ程度の乳白色の風船がフンワリ、フンワリ、実に雅(みやび)に近付いて来たのであります。
「何なの、この子ら? メッチャ癒やされるわ」と奈那社長がまず声を発せられました。私は「奈那ちゃんへのプレゼント」と言って、目の前の一匹を捕まえようとしたのですが……、スーッと消えてしまいました。
頭に来て、「お主らは何者ぞ?」と問いました。すると金星人の森の管理人、キンカンガルさんが重々しく答えられたのであります。
「あなた方はまことに幸運です、先にお話ししたように彼らこそ宇宙絶滅危惧種の『忍者フンワリ君』です、時には『星空くノ一』と呼ばれることもありますが、決してメスではなく雌雄同体生物です、そしてその能力は絶対に捕まらない瞬時の『時空間瞬間移動』と『変身』が出来、かつが得意です、本当に希なことですが、あなた方を気に入ったようですよ、そうだ、奈那さん、この場で何か変身してもらったら如何でしょうか」と。
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森 作家名:鮎風 遊