㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森
8話 後方の扉へと
「ホッホー、そうなんだ」と一応納得はしましたが、まだまだハテナ。そこで私が「質問、その2!」と手を上げました。キンカンガルさんはニコッとされ、「どうぞ」と。
私はニコッ、ニコッと微笑み返しをし、そして訊きました。
「この森が金星と同じ引力であるとわかりましたが、地球上の他の森と比べ、どういう特別なことがあるのですか?」
「ごもっともな質問ですね、一つは引力が小さいので森の木々は上へと成長することに抵抗が小さいです、すなわち非常に背が高いのです、そして他の地球の森では見られない、引力が小さいことに適応した植物や動物が住んでおります、なんと『宇宙絶滅危惧種』もいるのですよ」
キンカンガルさんのこんな答えに私たち三人、そしてツユスケさえも「えっ、えっ、えっ、宇宙絶滅危惧種って???」ともう前のめり。そんな様子を見て、キンカンガルさんは仰ったのです。
「Seeing is believing. あなた方の言語では、『百聞は一見にしかず』と申しますよね、さあ、現地案内を致しましょう!」
これに私たちは「ヤッター!」と歓喜の声を上げました。が、「ビーナスの森の引力は小さめ、そのため少々酸素が薄~ございます、念のためこちらの小型酸素ボンベを背負ってもらいます」と1セットずつ無理矢理手渡されました。
ヤッチンと私は「めんどくせ~」と言い掛けた言葉を遮るように、奈那さんは「ごもっともですわ、お気遣いに感謝致します」と返され、ヒョイと背負われました。野郎どももこれを見習い、「キンカンガルさんの仰る通りです」とジャマクセー、ヨッコラセと。もちろん見掛けは実に積極的に背負いましたよ。
これを見届けたキンカンガルさん、「さっ、出発、私の後を付いて来てくだされ」とさっさと後方の扉へと歩かれ、ギギギーと開かれて屋外へと出て行かれました。もちろん私たちは奈那社長を先頭に追い掛けました。
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森 作家名:鮎風 遊