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㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第2話 ㊙ ビーナスの森

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 これには私たち一同仰天の極まり。それでも奈那ちゃんは少女時代に戻られたのか、「森の妖精がいいわ」と割に厚かましい。
 それでもこう発せられた途端、忍者フンワリ君たち約10匹が森の妖精に、そう、フェアリーにさらっと変身しちゃいました。
 私たちの周りを透明な羽をヒラリヒラリと羽ばたかせふんわりふんわりと飛んでらっしゃるじゃありませんか。奈那ちゃんも、ヤッチンも私も、ひょっとしてこんな場面に出会うために今までの人生があったのではないかと思わせるほどの光景、まさにビッグな感動がありました。
 それでも純粋無垢な奈那ちゃん、当然手を伸ばし捕まえようとしました。が、瞬間移動の能力を持つ忍者フンワリ君の化身・森の妖精、さっと消えては10秒後に現れて来はります。こんな繰り返しが5分ほど続いたでしょうか、その後元の風船のようにフンワリフンワリと空中に浮かんでらっしゃるじゃあ~りませんか!
 私はこの時思ったのですよ。あのうら侘しいアパート暮らしから最近ツユスケが来てくれて、それはそれなりに楽しくなった。されども未だ心の温(ぬく)もりが欠乏中。
 そうだ、忍者フンワリ君だ!! たった1匹でよい。人生をもっと豊かにするため、一緒に暮らしたい、と。
 ここはダメ元、キンカンガルさんにお願いしてみました。
「私はしがないサラリーマンでありまして、ツユスケと味気ない日々を送ってます、救って欲しいのです、どちらの忍者フンワリ君でも結構です、私のアパートの一室に時空間移動して頂いて、一緒に暮らして頂けないでしょうか?」と。
 これにキンカンガルさん、しばしの沈思黙考。そしておもむろにアナウンスされたのです、忍者フンワリ君たちに向かって。
「宇宙の忍者たちよ、君たちの中で、ホモ・サピエンスのこの貧乏お兄ちゃんの暮らしを体験してみても良いと思う忍びの者、時空間瞬間移動の技で即刻彼の肩に乗っかってください」
 こんな呼び掛けの数秒後、直径50センチ程度の1匹のフンワリ生物が、なんと私の左肩にいつの間にか乗っかってるじゃありませんか。
 こんな流れに奈那さんとヤッチン、そしてツユスケまでもが目を丸くして、「ビツクリ! コイツは宇宙絶滅危惧種の中でも一番珍しいというか、物好きな突然変異ですね」と。これにキンカンガルさんは「いいんじゃないですか、このヨッチンお兄さんも宇宙で非常に珍しい生き物のようですしね、似たもの同士、よって意気投合したのでしょう」と笑われました。
 その後、「住所を教えてください」と訊かれ、大きな声で答えますと、肩の上の忍者フンワリ君はフンフンと頷き、さっと消えて行きました。
 というような奇妙なこともあったのですが、全員ビーナスの森をこってりと巡らせてもらい、何はともあれ無事に元の建物へと戻って参りました。