小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

黒薔薇研究会の真実

INDEX|16ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

 パチンコというものを、ゲームだと思って楽しんでいた。実際に、
「勝ち負けは、むしろどうでもいい。好きな機種を楽しめればいい」
 ということで、勝ち負けに関しては、
「負ける時もあれば勝つときもある」
 ということで、
「最初から一日、いくら」
 という遊び台は計算に入れていて、
「勝ち負けの相殺というものが、その範囲内であれば、よしとしよう」
 と考えていたのだった。
 だから、依存症と言われても、自分では、
「計算しながらやってるんだから。問題ないだろう」
 と思っていた。
 ただ、実際には、貯金を少しずつであるが、食い潰していっているのは、無理もないことで、
「貯金通帳が、キャッシングの域に入っていて、マイナスだったこともあった」
 というくらいであった。
 それでも、月に半分くらいマイナスになっても、バイトの給料が入ればプラスになるので、
「それはそれでいい」
 と思っていたのだった。
 だが、借金であることにはかわりなく、ちょうどそんな時に、
「世界的なパンデミック」
 と、
「受動喫煙防止法」
 というものが、一緒に来たのだから、パチンコ屋はたまらない。
 しかし、そのおかげで、佐伯は、パチンコというものに対して、冷めた気分になったことで、
「依存症」
 と言われていたものから、解放されるということになったのであった。
 パチンコ屋としては、佐伯のような人が多かったのか、
「客はどんどん減ってきていて、以前であれば、開店時の入場を、抽選しようと並んだものだが、今は開店しても、一部の機種に人が集中するくらいで、ほとんどの台、島というのは、閑古鳥が鳴いている」
 と言ってもいいだろう。
 それが、今のパチンコ業界の姿」
 というものであり。
「機種制限であったり、世界的なパンデミック。さらには、受動喫煙禁止法などと言ったタバコの関係」
 などというものが、一気に来たということで、
「パチンコ人口というものは、どんどん減ってきている」
 と言ってもいいだろう。
 それを思うと、パチンコ業界でも、大きなチェン店が倒産するというのも、分からなくもないというものである。
 ただ、佐伯は、パチンコをしている間、どうしても借金ができてしまった。実際に返せないような借金ではないが、気が小さいせいか、ちょっとした借金でも、怖くなるのであった。
 それだけに、返済を催促してくる貸主に、一時期恐怖を覚えていた。
「殺さないと殺される」
 というところまで、自分の中で追い詰められていると思っていたのだ。
 佐伯の悪いところは、自分が悪いことであっても、それを、追い詰められたなどと、すべてを自分が悲劇のヒーローであるかのように考えて、
「人を殺したくなっても、それはそれで仕方のないことだ」
 というくらいにまで思いつめていたりしたのだった。
 実際にできるわけはないので、
「妄想の中でくらいはいいだろう」
 ということで、
「黒薔薇研究会に入った」
 のだ。
 このサークルは、佐伯のように、気の弱い人もいれば、
「自分でミステリーを書きたい」
 と思っているので、その研究、あるいは、ネタ調達という意味で、このサークルを利用しようと思う人もいた。
 一人一人、目的も違えば考え方も違う。
 それでも。
「殺し方」
 という考えで、一つにまとまるというのは、意外にあることのようで、実際に、
「それが面白い」
 と言ってもいいだろう。
 人を殺すということは、本来であれば、
「気が小さい人間」
 ということであれば、怖くて考えられないだろう。
 しかし、佐伯はそれができた。
 だとすると、実際に、気が強いということになるのかというと、そんなことはない。
 そう考えると、
「一周まわって、元に戻ってきた」
 というだけで、
「本当は怖い」
 ということになるのだろう。
 そんなことを考えていると、
「マイナスにマイナスを掛けると、もれなくプラスになる」
 ということであろう。
 これがもし、
「×ではなく+だったとすれば、マイナスになる可能性もある」
 ということで、
「積除算に勝るものはない」
 と言ってもいいかも知れない。
 気が弱い佐伯だったが、妄想しているうちに、感覚がマヒしてきたのか、考え方が、恐ろしい方に向いている」
 と言ってもいいのかも知れないと感じるのだった。
「いろいろ妄想しているうちに、次第に殺害の発想が膨らんでいき、自分は、殺害方法をヵンが得る天才ではないか?」
 とまで思うようになった。
 うぬぼれと言ってもいいのだろうが、それよりも、
「これだけ発想が膨らむだけの才能があるのであれば、パチンコなんか辞めて、もっと他に自分の才能を生かせるようなことで、パチンコ台に投資した分を回収できるかも知れない」
 とも思うのだった。
 そう思うと、
「パチンコなどうつつを抜かしたことによって、今までの時間がもったいなかった」
 と思ったのだ。
 そこで、
「せっかく殺害方法を考えるサークルに入ったのだから、小説でも書こう」
 と思うようになった。
 発想はいくらでも浮かんでくる。
「感覚がマヒしてくる」
 とさえ考えればいいのだ。
 元々、小説を書けないと思ったのは、
「リアルが頭に浮かんできて、人を殺すなど、想像もできないからだ」
 と思ったからであった。
 しかし、実際に、感覚がマヒしてくるという自分の性質に気づいてくると、
「だったら、いくらでも、リアルの発想を生かすことができる」
 と気づいたのだ。
 だから、
「俺は、小説の中で、たくさんの死体をゴロゴロ転がし、血の海に沈めるというくらいのことは、簡単にやってのける」
 というくらいに考えたのだった。
 探偵小説というのは、誰が何を言おうとも、
「実際にやらなければいいんだ」
 ということである。
 中には、
「お前がそんな小説を書いたから、それを模倣した犯罪が起こる」
 という人もいるかも知れないが、これはあくまでも、エンターテイメントであり、普通に教育を受けた人であれば、
「実際に犯罪を犯したとすれば、それが何を元に下と言っても、それで刑罰が軽減されるわけではない」
 ということである。
 だから、誰が、
「犯罪を、助長させた」
 と言ったとしても、その責任を問う必要はないだろう。
 今の日本には、
「言論の自由」
「表現の自由」
 というものがあるのだ。
 確かに、被害者の家族ともなれば、犯罪を助長する書物に恨みを持つこともあるかも知れない。
 しかし、だからと言って、
「本来なら、犯罪を犯す奴が悪い」
 というわけで、
「あくまでも、フィクションだ」
 と謳っているのだから、それを無理矢理に、
「犯罪を生み出した」
 などということにするのであれば、小説などというのは、ありえないと言っても過言ではないだろう。
 だから、佐伯は、刺殺という内容をミステリーに書いた。
 これも、
「足が付きやすい」
 と言ってもいい。
 必ず、動機のある人間が犯人であるということになるだろう。
作品名:黒薔薇研究会の真実 作家名:森本晃次