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㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第1話 ㊙根暗出る樽 渓谷

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2話 イエス、社長さま


 さてさて、まずはここに至った経緯(いきさつ)を皆様にご報告しておきましょう。
 私たち三人は学生時代の無銭旅行同好会の仲間。なぜか気が合い、リュックを背負い日本各地を歩きまくりました。
 そして卒業、地方の実家に帰った奈那ちゃんは父が経営する小さな個人旅行社を手伝っていました。また山岸は、そうヤッチンは会社に勤めず、朝から晩までバイトに明け暮れ、まずは小銭を貯めました。そしてそれを元手に株投資に没頭。昼はもちろん日本株、夜は夜で米国株の板に張り付きました。円安ならびに米国景気の恩恵に肖(あやか)ったのでしょう、幸いにも1億円以上の財を成し遂げたのです。されども実に今も貧乏人風に生きてます。
 一方私はですね、卒業して中クラスのメーカーに入社しました。毎日変化のないサラリーマンのコツコツ生活を続けてます。
 そして学校を出てから5年の月日が流れました。
 もうこれは世の常、年賀状を交わす程度の関係になっていました。そんなある日のことです、突然奈那ちゃんからラインが入ったのです。
『洋一君、ちょっと相談したい事があるの、だから今度の日曜日午後1時に、昔よく百鬼夜行の妖怪たちの休憩場所となっていた所、もちろん憶えてるでしょ、そう、俗名:魔界公園で待ってるわ』と。
 オッオッオーーー!! まずは大ビックリ。奈那ちゃんからラインが来るなんて!
 それから走馬灯のように蘇ってきました。木魂(こだま)に猫また、そして山姥(やまうば)などがブランコやシーソーに乗っていて、それを私たち三人は大きな柳の木に身を隠し、呪文『かたしはや えかせにくりに くめるさけ てえひあしえひ われえひにけり』と唱えながら……、そうだったなあ、奈那ちゃんの手をしっかり握りながら覗き見していたことを。
 そして5分後、ドキンドキンとかなり胸を高鳴らせながら「モチ、行くよ」と打ち返しました。