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㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第1話 ㊙根暗出る樽 渓谷

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7話 採決


「おいおいおい、ヤッチンと俺のこと、出来の悪い部下と認めたんか~い! ブー」と野郎二人は不満を表しました。そんな我々に奈那ちゃんはピシャッと。
「だって、ホントの事でしょ!」
これに私とヤッチンは頬を膨らませたままの状態で、部屋全体がシーーーン。それはそれは重い静寂が少なくとも30秒間は続いたでしょうか。そしてやっとそれを破ったのはちょっと感受性が薄弱なヤッチン。
「これを相場で言い換えれば、今の俺らは底値、それを奈那さんは買うってことになるのかな? その期待は、谷深ければ、山高しってことだよね」
私は思いました、ヤッチンはやっぱし相場師、とにかく例えが相場格言。だけどちょっと変。
「おいおいおい、相場で普通に使われてるのは、反対のケースで、『山高ければ、谷深し』だろうが、ああ、混乱の極みだが、いずれにしても奈那ちゃん、俺たちはユユリリララさんの提案、それを受け入れることに反対はございません」と。
 これを聞いて奈那ちゃんは実に神妙かつ厳かに語られたのです。
「それではユユリリララさんも含め4人全員で採決を取りましょう、いいですか、私どもの旅行社の旅プラン『㊙ 未知ワールドへ、ようこそ!』の訪問地(1)として――『㊙ 根暗(ねくら)出る樽(たる)渓谷』――を採用したいのですが、これに賛成する人は挙手願います」
 これを受け、場は、「賛成」、「賛成」、「賛成」、「賛成」
 つまりユユリリララさんも含め4つの手の平が天に向かって上がりました。
 奈那ちゃんからはすぐさま「ご賛同、まことにありがとうございます」と一礼があり、それに対しユユリリララさんからは「おめでとうございます」と。そしてヤッチンからは「良い投資物件でありますように」と。そして最後に、私は「貧乏で培った忍耐力でお支え致します」と誓いの言葉を発しました。
 これに「コイツら割にいいヤツやんか!」と意外な反応をなされたユユリリララさん、後は手慣れた調子で、「それじゃ、お手元にあるさそり座1CHOSASU星人の大好物、先ほどの『サソリ酒』で、カンパ~イ!!」とグラスを天に向かって上げられました。
「えっ、えっ、えっ、さっき飲んだ飲み物は葡萄酒、イチゴ酒、レモン酒でなく、毒針で刺すサソリ酒だったんか~い!」と私は叫びました。
 が、こんな場面でドリンクに驚いても意味はなし。ここは前向きに一気飲み。されどもそのクッセー野生味にウッとむせびました。