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照る日曇る日

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その2


それでも私は様々な出来事に目を見張り、受け入れ、母の温もりの中で自分自身の卵を抱いて孵化させていった。
物心ついたとき、母は傍に居なくて祖母の背中と竹藪の草の中で摘んだ野苺の赤い実だけがこの世の最高の物だと思っていた。

シオンの丈高い薄紫の中に母と私が立っていた。
花にうずもった母の幸せに満ちた顔は私の人生の出発点にあって、そのことを思い出す度に、私は幸せな子だったんだと確信した。


後に老いさらばえた人が放った言葉は、「あなたは寂しく育ったから今が強いのよ」と。



作品名:照る日曇る日 作家名:笹峰霧子