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照る日曇る日

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認知症特有の匂い その1



彼女は自分を認知症とはさらさら思ってはいないにもかかわらず、呆けた呆けたと連発する。それに繰り返し同じことを言うのは明らかに認知症の症状だ。
逆のことを口にして、他人からそうでないと言われたいのか、本当にその気(け)があることに気付いているのか。

相槌を打つには、「私も同じよ」としか言いようがないが、私はこれまで自分に向っての暴言を吐いたことは無い。自分に対する負のことばを口にするのは嫌だからだ。他人に対しても相手が不快な思いをすることを言わないというのが私の決め事。

認知症の匂いがする人は、自分を高めたり低めたり、つまり大事な自分自身をいじくり回している。他人を傷つけないよう配慮する以前に、自分のことを傷つけないよう愛撫してやることが必要だ。

作品名:照る日曇る日 作家名:笹峰霧子