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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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そらのわすれもの9

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9-2


放課後、午後の傾き始めた日の光が学校の廊下に差し込んでいた。
「琴恵!」
知秋は慌てて、琴恵を呼び止めた。確認しなくてはいけないと思った。
スカートのポケットに手を入れ、先日優太からプラネタリウムで渡された太陽のストラップをぎゅっと握った。勇気が欲しかった。優太に声をかけようかと思ったが、ここでする話はあまりにも自分の正体の核心に迫るものなのでやめた。あくまで、優太とは人間として仲良くしたかった。
琴恵とは頻繁に会話をする機会はあった。でも、それは宿題をやらないだの、忘れ物が多いだの、授業中寝ている時間が長いだの、いわゆる教師と生徒の域から外れないものばかりだ。
「何?」
目の前の琴恵が不機嫌そうに振り向く、思わず琴恵の服の裾を掴んでしまっていることに気がつく。
「どこかで二人きりで話せる?」
知秋は勇気を振り絞り、琴恵に話しかける。
「まだ、服の裾を離さないの?」
(思わず握ったままになっていた)
慌てて知秋は掴んでいた琴恵のシャツの裾を離す。
琴恵は自分自身の腕についている大きな腕時計に表示された日没時間をチェックしていた 。
「あなたの活動時間で考えると、あまり時間がなさそうだけど、中川優太と帰らなくていいの?」
昔から琴恵は、日没時刻が確認できる腕時計を愛用していた。それ程に彼女は知秋に執着しているようだった。その執着に改めて知秋は期待と不安を覚えた。優太を連れてくるべきだったか、不本意ではあるが竜也に知春と優太から聞いた琴恵との先日のやりとりを伝えるべきか悩んだ。
難しい顔の知秋とは対象的に琴恵の顔が綻ぶ。
「空き教室を念のため確認してくるから、自分の教室に待機していて。」