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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの9

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靴箱には丁寧に庭の花が生けられ、脇に小さな置物が飾られている。
置物の中に2つ不格好な物が混ざっている。
「気になる?」
優太の目線に気付き、竜也は言う。
「この世界各国の素敵な海外の置物の中で、一際異彩を放っているどうしようもない2つは知春と知秋の作品だよ。ちぃ…おっとっと、知春が混ぜて置いたんだけど、ひどい出来だと思わないかい?」
いい笑顔で辛辣なことを言う。
「まあ、かわいいんだけどな。」
竜也は、すっと2つの置物に触れると少し微笑み、優太をダイニングに案内した。
「紅茶でいい?」
竜也はガーデニング用のエプロンを椅子にかけると、壁にかけてある料理用のエプロンに差し替えた。
慣れた手付きでお湯をティーカップとティーポットにそそぐ。
「?」
優太が奇妙な顔をしたので、竜也は優太の顔を見た。
「?」
「茶葉入れないんですか?」
「カップ温めておこうかなと」
花の絵が描いてある綺麗な缶を取りだし、優太に見せる。
「どれにする?ハーブティーとかフレーバーティーとかもあるけど。」
色々なラベルの茶葉が並んでいた。
「…。」
優太は竜也の顔を見る。
「種類言われても分かりません。」
「そうなのか。どうしようかな?人が作ったクッキーとか気にせず、食べられる?」
竜也は悩み、適当に茶葉の入った袋を取り出し、ティーポットに入れ、お湯をそそいだ。それから、食器棚をながめると幾つか飾られてある小皿の中から、比較的シンプルな小皿を選び出し、テーブルのわきに置いてあったガラスの瓶を手に取る。中にはクッキーが入っていた。
テーブルにのせられたアイテムひとつひとつ眺めてから、優太は思いきって聞く、
「女の人と暮らしてるんですか?」
「え?」
竜也は茶葉を蒸らすために出した砂時計を眺めるのをやめ、優太を見る。
「いや、知秋と知春が帰ってくるかも知れないのに、それはないだろう?」
「じゃあ、ここにあるものって、知秋さんや知春さんのなんですか?」
竜也はきょとんすると、
「ああ、昔は女性が沢山いたから、この家は…。それをそのまま使っているだけだよ。」
と答えた。
「風間先生もここで暮らしていたって本当ですか?」
優太は聞く。
竜也の顔が曇る。