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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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■旅の8日目:JR野辺山駅⇒自宅


【今日の走ったルート】 まずは「野辺山宇宙電波観測所」を見学、清里駅前を通過し、清泉寮で清里の栄枯盛衰をスタッフと会話、八ヶ岳高原ラインを走り抜け、道の駅「こぶちざわ」、そして道の駅「はくしゅう」にも立ち寄り、そこの湧水の「白州の水」で作ったカップ麺の昼食を取った。そこからは一気に、R52そしてR1を走って帰宅。

【この日の忘れられない出来事】 これまでに何回も訪れた八ヶ岳エリア、あそこにも行った、ここにも行ったとの思い出が多いが、今回初めて行った「野辺山宇宙電波観測所」をじっくり見学できて、またひとつ良い思い出ができた。

【旅の内容】 昨夜は早く寝たせいか、4時半に目が覚めた。2枚の掛け布団の暖かさは偉大だった。
 トイレに行こうとエントランスから出た時、涼しさを超えて寒さを感じたので、ウィンドブレーカーを着た。パーカーやトレーナー等の少し厚手のものを準備していなかったので、「準備リスト」の夏の旅バージョンにも加えることにした。

 コンソメ味のきのこ炒めを作り、それを食パンの上に載せて、インスタントコーヒーを飲みながらの朝食になった。本来ならば、NHKの朝ドラを見ながらの朝食タイムにしたかったのだが、昨夜から、地デジ電波を受信できないままだ。帰宅してから、NHK+で見ることにした。

 朝食後の皿洗いが終わった8時頃、改めて、この駅前の様子を見渡した。
 清里ブームは過去のこと、今はコロナ禍の真っただ中ではあるが、観光客はほとんど見当たらず、閑散としていた。駅前の閉店した店は今、空き家の雰囲気が漂っていた。この地に観光客を再び呼び寄せる起爆剤は何だろうと思ったが、地元の人は、ひょっとしたら、ブーム以前の雰囲気の方が好きかも。地元の人と、そんな話をしてみたい。

 そういえば、昨日見た八ヶ岳高原線を走る2両編成のディーゼルカーは、今時のラッピング車両ではなく、薄緑のノーマルなカラーリングだった。そのノスタルジックな雰囲気が良い。それが好みだ。この八ヶ岳山麓にラッピング車両は似合わない気がした。

 まずは「野辺山宇宙電波観測所」に行った。見学は8:30からなので、5分ほど待ったあと、タブレットに向かって受付を済ませ、コロナ禍のため連絡先カードに記入し、見学を開始した。見学者は私ひとりだ。
 敷地内の奥にある最も大きな直径45mの電波望遠鏡に向かった。近づくに連れ、見上げる角度が高くなり、おびただしい大きさだ。でかい! でかい! めっちゃでかい! それがメンテナンス中だったためか、少しだけ動いた。多分、貴重な瞬間だったと思った。
 この電波望遠鏡は世界最大級で、およそ30年前、ここで行われた観測が、世界初のブラックホール発見につながったという。
 「自然科学研究機構野辺山展示室」はコロナで入館できず、残念。1時間ほど、色々な電波望遠鏡を見ながら、ぶらぶらとあちらこちらを見学した。

 JR清里駅周辺に到着したのは10時頃。
 観光客はゼロ、地元の人が2人歩いていた。駅周辺の店舗の殆どはシャッターが閉まっており、荒れている店もあり、売り家の看板も見える。廃墟という言葉を思い出す。
 かつては観光に使用された特別仕様のバスが駅前の公園内の展示物になっている光景は、清里ブームの終焉を意味しているようだ。
 真っ白な駅舎の前に展示されている漆黒のペイントが塗られたC56のみが、当時の残像のように見えてしまう。清里の復活はないのだろうか。

 駅前から清泉寮に続くかなり急な坂道を「ジル」でゆっくりと上っていった。清泉寮やその他の施設に向かう人が多いためなのだろう、左右に広い歩道のある立派な道だ。助手席側の車窓には牧場が広がり、右側はうっそうと茂った木々の間から、幾つかの施設が見えた。目の前の八ヶ岳が次第に近づいてきた。
 いつもは駐車できないくらい混雑している清泉寮の横の駐車場はがらんとしており、そこに停めることができた。
 清泉寮の売店に入ると客は数人、手持無沙汰のレジのお姉さんと会話が始まった。その内容は、清里はなぜああなったの? 彼女から次のような答えを頂いた。
 ①乱立したタレントショップが儲からなくなり、次第に無くなっていったこと。
 ②清里への観光客は以前、小海線に乗ってきて、朝から車両は満員だったが、次第に車でくるようになったものの、それを受け入れる駐車場が十分でなかったこと。
 ③店のオーナーの子供が後継ぎをやりたがらなかったこと。

 しっかりと整理された即答に驚きながらも、このような会話になることを予想して、清泉寮としての教育があったのか、彼女自身で理解していたことを話してくれたのかは分からないが、いずれにせよ、しっかりと理解できた。
 さらに会話内容は膨らみ、清里のブームは本物でなく、底の浅い内容の作られたもので、次第に飽きられてしまったのではないかという気がした。
 それに引き換え、清泉寮は高原を楽しむ客へのおもてなしが本物であり、水を一切使用していないホントに美味しいアイスクリーム等の「本物」が飽きられず、清泉寮からの見渡せる景色も最高で、それらが永続できる秘訣なのだろう。
 今日は小雨が少し降る残念な天気だが、それでも、高原の雰囲気を感じながらソフトクリームを食べた。

 清泉寮を出てからは少し上って、八ヶ岳高原ラインを走った。天気が良くない中、八ヶ岳の麓の眺望が見られる展望台もなく、ひたすら森の中を走った。道は次第に下っていき、道の駅「こぶちざわ」が見えたので、立ち寄った。
 そこは新しくできた道の駅のようで、駅舎のショップは品揃えが良く、立ち寄り湯の「延命の湯」もあった。いつの日か、ここでの車中泊を楽しむことに決めた。

 今回の分を含めて、5、6回は八ヶ岳を訪れていると思うので、少し思い出してみる。
 まずは学生の頃にバイクで、清里ブームの真っただ中、清里ユースホステルを根城にして、原宿かと思えるようなJR清里駅前の道を歩き回った。
 社会人になってからは、音楽バンド活動を少しやっていた時があり、八ヶ岳の西の麓に広がる原村のペンションで、音楽の合宿をやったことがあった。
 そして家族で、小淵沢に近い泉郷の貸別荘に泊り、幼い子供たちと一緒に高原で遊んだこと。
 それ以外に、信州を旅する際の通過点として数回、八ヶ岳高原を走った。そのついでに、周辺の色々な観光地に立ち寄った。

 今回は、八ヶ岳に沈む夕陽を野辺山から見て、「野辺山宇宙電波観測所」を訪れて、想い出は増えたが、まだまだ知らない場所が幾つもある。
 これからは、もし可能ならば、山麓に広がる別荘地の中の道を走り、別荘ライフを少しだけ覗いてみたいと思っている。そして、八ヶ岳登山の経験はこれまでにないので、体力とチャンスがあれば、縦走は無理だが、最高峰の赤岳(標高2,899m)には登ってみたいと思っている。
 どうも私は、八ヶ岳やその周辺の高原が好きなようだ。

 その八ヶ岳をあとにしてR20に出てから間もなく、「サントリー白州蒸溜所」に立ち寄った。