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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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 残念なことに今日の山頂はまだ、薄雲なのか霧に覆われており、山頂に行っても、志賀高原や長野県側の視界は期待できそうにない。それに、午後はひたすら走ることに専念したかったため、横手山には次回、妻と登ることに決めた。
 この日の夜、横手山で画像検索したところ、素晴らしい眺望が広がる多くの写真があった。「横手山ドライブイン」で1、2時間待っていても、その眺望を見渡すべきだったと、マジに後悔した。次回に掛ける期待が増してしまった。

 少し進むと「渋峠スキー場」のリフト乗り場が見えた。そこは横手山の南西斜面のゲレンデの麓だ。一方の北西斜面の「横手山スキー場」の方が長いゲレンデのようだ。これらは志賀高原スキー場のエリアの南端部にあたるとのことだ。

 そのすぐ先は渋峠で、長野県と群馬県の県境だ。
 少し走ると、助手席側の車窓からは木々の間の遠景が見えてきた。ちょうどその時、駐車場があり、そこに入った。
 まずは、目の前に広がる素晴らしい眺望に嘆息。幾つかの池も見える湿原は「芳ヶ平湿地群(よしがだいらしっちぐん)」で、木が生えていない山は草津白根山。その手前をよく見ると、蒸気なのか火山性のガスかは分からないが、何やら吹き出していた。
 この駐車場には「日本国道最高地点 標高2,172m」と書かれた碑が立っていて、ここを訪れた人は私も含めて、この景色を眺めたあと、この碑の写真も必ず撮るようだ。  

 この峠で、志賀高原が終わってしまうが、何となく素通りしたような気がした。夏のスキー場と眺望が見られない状況では、そんなものかと思うが・・・、観光ポイントを調べて、また来よう。

 その場所から下りが始まった。1km先は駐車も停車もダメとの看板があり、そこを通過する際は硫黄の匂いがした。先ほど、峠から見えたものは火山性の有毒ガスなのだろう。バイクで走った福島県の磐梯吾妻スカイラインを思い出した。

 草津白根山と言えば、白濁した青緑色の「湯釜(ゆがま)」が有名なのだが、道路の脇にはロープが張られており、駐車場にも入れず、もちろん「湯釜」にも徒歩で行けない状況だった。
 どうも、噴火警戒レベルが上がっておいて、白根山の周辺遊歩道は入山禁止の状況になっていた。残念だが仕方がない。

 そこからの志賀草津道路(R292)はかなりのジグザグな道になり、高度を下げていった。草津白根山の山肌は植物のない火山性のものから低木に変わり、背丈の高い木々に変化してから間もなく、少し開けた場所になった。そこにはレストハウスのような建物があり、その駐車場にあった自動販売機で炭酸飲料を買って飲んだ。ホッと安堵だ。
 ジグザグ道を運転してきたにも拘わらず、眠気を感じていたためで、こんな時は喉に刺激のある炭酸に限る。
 炭酸を飲みながら周囲を見渡していると、スキー場のリフト乗り場の建屋の横にいることに気付き、ロードマップを開くと、そこは「草津温泉スキー場」の麓部分だと分かった。
 ここまで走った道は冬季、スキーのゲレンデになるのではと思い、スマホで検索していると、志賀草津道路は11月下旬から4月下旬までは通行止めになるとのこと、R292の路線表示の横でスキーをやっている人たちの写真も検索された。国道がゲレンデになるとは・・・、雪の降らない静岡在住の私にとっては驚きながらも、シーズナリティの二面性に感心した。

 草津市街はR292で走り抜け、草津温泉のシンボル的な「湯畑(ゆばたけ)」や温泉街には入らず、さらに南下した。娘の嫁ぎ先が旧軽井沢に別荘を持っていて、そこに泊まった際に、草津温泉を散策したことがあり、十分に知っているためパスした。

 軽井沢に向かうR292は日本ロマンチック街道と呼ばれる高原道路だ。娘の情報によると、軽井沢と草津の間の道は曜日と時間帯によっては大渋滞するとのこと。多分、軽井沢の別荘の人たちが草津温泉に入ってから戻って来るときに渋滞が起きるのだろう。

 先ほどの炭酸の効果もなく、再び、かなりの眠気を感じて、これ以上の運転は危ないと判断して、道路脇の狭いパーキングに停車した。すると、そのまま、ごく短時間だが眠ってしまった。掛けっぱなしにしていたウォークマンの3曲分くらいの時間だったが、それでも、眠気が取れたようだ。

 その先の長野原の交差点で少し道に迷ってしまったが、無事にR146に入り、軽井沢に向かうことができた。助手席に妻が乗っているならば、しっかりとナビゲーションをしてくれて、道には迷わなかっただろう。
 そして軽井沢エリアに入った。とは言っても中軽井沢だが、軽井沢風な雰囲気はある。途中から「白糸ハイランドウェー(有料)」を下っていたならば、旧軽井沢に下ることができたが、そのあたりは、娘家族の案内で散策したこともあったので、先に進むことにした。

 R18を西へ、やがて八ヶ岳の山麓を走るR141に入った。
 また眠くなったため、コンビニでアイスを買った。運転しやすいようにと「もなか」を買ったのだが、コンビニの駐車場内で食べてしまった。だったら、他の「棒アイス」でも良かったのに。

 佐久からは、千曲川と八ヶ岳高原線(JR小海線(こうみせん))に沿って、標高を上げていった。間もなく日没なのだろう。八ヶ岳は太陽の陰に入り、陰影が分からなくなっていた。
 八ヶ岳山麓の今夜の車中泊場所をどうしようかと思いながら、広い駐車スペースのあるJR野辺山駅を目指すことにした。
 到着した時は、駅前の店は既に閉まっており、乗降客もおらず、さびしい駅前の様相だった。そして駐車場は2ヶ所あり、駅前の20台ほど駐車できるスペースはガランとしており、線路に近い場所の10台は駐車できそう場所にもクルマの姿はなかった。駅舎の横にはトイレもあり、ここで一晩、お世話になることにした。

 駅前の「銀河公園」にはC56が保存されており、SLファンの私にとっては必見だ。
 私好みのSLはタンク機関車のC11で、そのテンダー機関車がC56だ。そう思っていたのだが、C56はC12がベースだとあとで知った。約半世紀もの長い間、間違った認識をしていたことになる。
 その時、日没が近いことに気付き、急いで「ジル」に戻り、野辺山駅前から八ヶ岳に延びるR141の先に沈む夕陽にカメラを向けた。いい感じの写真が撮れた。

 そういえば、ここ野辺山にはかつて、「野辺山SLランド」があったが、2018年に閉園した。この遊園地の存在を知った時は既に閉園していたので、入園は叶わなかったのだが・・・、SLファンとして、特に軽便鉄道ファンとしてはたいへん残念だ。
 というのは、ここには軽便鉄道規格の蒸気機関車やディーゼル機関車が集められ、動態保存された機関車もあったようだ。
 その中のベルギー製のSL362号(復元できず、機関車後方に別の蒸気ボイラーとディーゼル発電機を搭載する改造を行い、ディーゼル発電機で発電した電力でボイラーを駆動して蒸気を発生させ、機関車を駆動)は今、鉄道模型の積水金属(ブランド名はKATO)の「KATO Railway Park(2024年6月開園)」にて「OLIVER号」として動態保存されている。