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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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 引き戸を開けて中に入ると、番台もなく、無料のようで、靴を脱いでから数歩の廊下を進むと、二つの湯船が見えて、その横に脱衣所があり、湯船から丸見えだ。その佇まいが気に入った。
 そして天井が高く、二つの湯船は源泉掛け流しの「あつ湯」と「ぬる湯」で、そこから2mくらい上に採光窓があり、気持ちが落ち着く空間だ。
 誰も入浴していなかったので、湯船の写真を撮った。
 後日、それまでの「キャンピングカーの旅」で撮った写真の写真展を地元で開催した際には、この大湯の写真も掲示した。この湯船の写真は数ある写真の中でも特に好きな写真になっていた。

 熱い湯が好きな私は、奥の「熱湯」に手をつけようと近づいたとき、湯船から溢れ出ている湯の上を歩いたとき、その熱さに驚き慌て、たじろいだ。
 そこで、手前の「ぬる湯」に手をつけてみると、そこもかなり熱く、手をつけ続けるのは無理だ。「熱い場合、加水をするか、湯もみをしてください」と書かれており、水をガンガン入れた。
 少し湯温が下がったあたりの湯を汲んで、体に掛けたあと、足を湯に入れたが、まだめっちゃ熱い。さらに水をガンガン入れ続けながら少し待ち、やっと手をつけられる湯温になってきたので、水を入れているポイントから半径50cmの範囲で、湯につかることができた。しかし、そこから足を延ばすと、その先は熱くて、縮こまったまま、湯につかっていた。

 のんびりと湯につかり体や心を癒すといった温泉ならではの状況からは対極の状況だった。
 「ぬる湯」でこの状況なので、「あつ湯」につかるのは無理だ。那須高原のあの「鹿の湯」の最も熱い湯温より熱い気がした。

 縮こまって湯につかっていた時、地元の人が入ってきたので、色々と教えて頂いた。
 源泉は大湯の近くにあり、湯温については知らないと言っていたが、あとで調べると66.4℃、そのまま「あつ湯」の湯船に供給されているとのことで、絶対に入れない湯温を理解した。
 「ぬる湯」は、そこから2mほどしか離れておらず、おまけに湯船の下はつながっているので、「あつ湯」より温度は低いとのことだが、私にとっては、ニアリーイコールで、熱い!
 地元の彼はさらに「湯仲間」という制度について話してくれた。それは、「大湯」を始めとする外湯の管理・維持をする温泉街の人たちでつくった仲間で、電気料金や水道料金を負担し、当番制で毎日の掃除をしているとのこと。その活動で、旅人の私も湯につかることができて、サンクスです。ホントに。

 「大湯」の湯を十分に味わったあと、他の外湯も回ってみることにした。
 まずは「河原湯」に行ってみた。「大湯」ほどの鄙びた感はなく、湯にはつからず、手をつけただけだったが、湯温は適温だった。
 次に「ふるさとの湯」に行ったが有料の温泉だったので中には入らず。
 その少し上がった先に「麻釜(おがま)」という露天に幾つかの湯船が並んでいて、熱湯で危険と書かれており、敷地内には入れなかった。5つの湯船はそれぞれ温度が違って、野沢温泉の台所とも称され、住民たちは用途により、野菜や卵をゆでたり、野沢菜を洗ったりして、日常的に使い分けをしているとのことだった。
 最後に「麻釜の湯」に行ったが、銭湯のような感じの湯船だった。ここも湯温は適温で、誰もいなかったので少しの間、足をつけていた。
 そして、温泉街をそぞろ歩きしながら、夜の温泉街に思いを馳せながら、「ジル」に戻った。気付くともう11時を回っていた。

 野沢温泉について長々と書いてしまったが、多分、ここをたいそう気に入ってしまったためだろう。
 今度は妻と一緒に是非、湯めぐりをやってみたい。また、スキーで疲れた体を温泉で癒して再び滑る、そのようなスキーを楽しみたいと思った。

 別の道を下ってR117に戻り、車中泊した道の駅「花の駅千曲川」の前を通過した。このあたりは千曲川流域の長野平野の北端にあたる。
 暫く走ると正面に、「斑尾高原」の案内標識が見えた。昨日、そこを出発して新潟県の日本海を見て、長岡と小千谷で友人たちと再会して、ここまで走ってきたが、斑尾高原でのことがもう懐かしく感じ始めていた。旅では、前日のこともその前のことも、走った距離が影響するのか、時間感覚ではなく懐かしく感じられるものなのだろう。

 千曲川の土手を走るR117からは、飯山市街を少し見下ろせるため、北陸新幹線が停まるJR飯田駅を探しながらの運転になったが、残念ながら見えなかった。

 R117からR292に入り、一路、志賀高原に向かった。次第に上り勾配がきつくなり、山間のジグザグ道になっていった。今日も多分、燃費が悪いだろう。そうは言っても、9km/リットルは下らないはずだ。

 まだ滑ったことのない志賀高原スキー場は、一度行ったことのある近くの菅平スキー場のように、中央から幾つもリフトやゴンドラが周囲の山や丘に放射状に伸びている広大なすり鉢状のスキー場のイメージを抱いていたが、そうではなく、幾つものスキー場が並んでいる巨大なエリアだった。
 もうスキーからは足が遠のいてしまったが、無理をしないならば、まだ楽しく滑ることはできるだろう。行ってみたいものだ。

 今回は、志賀高原から草津に向かう志賀草津道路(R292)のみを走ったため、それほど多くのゲレンデやリフトは見られなかった。奥志賀高原方面に行ったならば、夏でも、これぞスキーリゾートだと感じられたのだろう。ちょっと後悔した。
 ということで、志賀高原スキー場を少し調べてみた。
 11月中旬から5月という約半年のロングシーズンでスキーが楽しめる志賀高原は、初級者から上級者までが楽しめるゲレンデがあり、日本屈指の広大な滑走エリアと上質な雪質が自慢とのことだ。
 志賀高原には5つのエリアに18のスキー場があり、日本でも最大級。各スキー場はリフトでつながり、離れたスキー場には無料のシャトルバスで行ける。
 周辺には温泉宿やホテルがあり、「熊の湯」「木戸池温泉」「志賀山温泉」などの温泉があり、それらもスキー場の魅力になっている。
 知れば知るほど、これまで滑らなかったことを残念に思った。

 道路際に池が見えた。木戸池と書かれた看板があり、それを入れて、下車せずに写真を撮った。
 旅が終わったあと、ネット検索で木戸池の写真を見たところ、湖畔の木々が美しく、絵になる景色という印象で、湖畔を歩いても良かったのではと。それは次回の旅で行うことにしよう。

 志賀高原をあとに、ジグザグを繰り返しながら上っていった。薄雲が広がり、視界はあまり良くなかったが、広大な景色と思われる白い空間に面した「横手山ドライブイン」の広い駐車場に「ジル」を停めて、薄雲が風で吹き飛ばされることを願いながら、簡単な昼食を取った。
 道を挟んだ山側には「スカイレーター」があり、それは勾配のある動く歩道のようなもので、それを降りた先でリフトに乗れば、日本三百名山の横手山に登頂できるとのことだった。
 ちなみに、横手山は志賀高原で第2の高峰で標高は2.307m、スキー場としては日本で最も高い場所とのことだった。