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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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 この旅が終わって、ここで撮ったウィンドサーフィンの写真を見て気が付いたのは、その背景の対岸の丘には、幾つもの別荘が建っていたことだ。野尻湖は県庁所在地の長野から近いため、そこの人たちのリゾートエリアなのだろう。マップを見てみると、幾つもの大きな別荘地があった。

 昨日、今日と走ってきて、戸隠山、飯縄山、黒姫山を麓から見て、今夜は斑尾山の麓の高原に向かうことから、私流に、北信五岳の4つを制覇することになる。
 今から、妙高山の麓に行って、しっかりと見上げるならば、北信五岳の全山制覇することになり、せっかくのチャンスなので、妙高山の麓に広がるスキー場を訪ねることにした。
 そこでの滞在時間が長くなれば、そのまま車中泊して、明日、斑尾に向かえばいいのではと、キャンピングカーの「気ままな旅」ならではの思考になっている自分に気付いた。

 妙高野尻バイパス(R18)から妙高山の麓の県道に入り、北上した。
 妙高山には幾つものスキー場があるが、これまでに行ったことはなかった。どこかで耳にしたことのある名称のスキー場ならば、多分、大きなスキー場だろうと思い、「赤倉温泉スキー場」に向かった。

 坂道を上り切ったそのスキー場のゲレンデには、ここでも夏草が生い茂り、その揺れから、高原の風が見えた。
 今日は土曜日だが、スキー場に近い宿が並ぶ通りには人影はなく、シーズンオフの景色だ。ここには温泉や足湯があるので、もう少し人通りがあるものと思っていたのだが、今はコロナの影響があるのだろうか、寂しい佇まいだった。
 夏のスキー場の活用方法があればと思い巡らすと、八方のパラグライダー、飯縄の観光リゾートを思い出した。

 スキー場の中に立っている巨大なゲレンデマップを見ていて分かったのは、ここには、幾つもゲレンデがあり、それぞれが広く、傾斜も色々とあることだ。加えて、雪のコンディションは良いようで、ゲレンデの上からの眺望は広く、日本海までも見えるのではと、色々ことを想像してしまうと、一度は滑りたかったスキー場だと思った。
 そのように書いてしまうと、もうここでは滑らないと言っているような・・・、自宅から妙高まではかなり遠く、大遠征になりそうだが、キャンピングカーを使えば、何とかなりそうな気もするので、もう来ないと決めつけず、スキーシーズンでの再来の可能性を残しておきたい。

 「野天風呂」と書かれた場所までたどり着いたものの、全身で湯につかりたい気分は失せていて、その代わりに、手前の「赤倉温泉足湯公園」で足をつけることにした。
 手をつけて、足をつけると、妙高の湯の泉質を感じた、と書きたいが、温泉ソムリエではない私にとっては、足のふくらはぎで感じ取るのは困難だ。
 高原の風を浴びながら、ひとりでゆっくりと足湯を味わった。すると、湯につけた足から上半身に暖かさが伝わっているかのようで、全身の疲労感が取れてゆくのを感じた。最後に、足湯で癒されている私自身をセルフタイマーで写真を撮った。

 ふくらはぎの2/3くらいまで赤くなった足を拭きながら思ったのは、シーズンオフの今だが、人で賑わう活況のある妙高高原の場所があるならば行ってみようということで、「ジル」に戻ってからマップを広げると、「いもり池」を見付けた。
 周囲約500mの池の、妙高山が見える側の池畔は観光客で少し賑わっていた。私もゆっくりと歩くことにした。水面は蓮の葉で覆われて、妙高山の山容が映るほどの面積はなかった。
 お休み処でソフトクリームを買って、ベンチに座って食べながら思ったのは、高速のSAや道の駅ではソフトクリームがよく売られていて、若い人より、年輩の人が食べている風景をよく見ることだった。私にとってもそうだが、ちょっとした贅沢感がいいのだろう。
 ベンチから見上げる妙高山の山頂部は雲が掛かり始めていた。そして、この高原をあとにする頃、山頂はすっかり雲に覆われて見えなくなっていた。夏の季節はそんなものだろう。

 先ほどの黒姫山もそうだが、この妙高山も、馬蹄形の外輪山と溶岩ドームの中央火口丘を持つ火山で、北信五岳の最北の山だ。
 さらに北側に位置する火打山(ひうちやま)、焼山(やけやま)と共に、頸城三山(くびきさんざん)を成している。ちなみに、頸城とは新潟県西部の地方名で、上越地方にほぼ相当する。
 そう書いていて、気付いたのは、妙高山は長野県の山でなく、新潟県内の山だったことだ。私の甚だしい認識不足にショックを受けた。
 そうなると、「越後富士」とも呼ばれる妙高山なのに、長野県北部の北信地方の五岳のひとつに数えられ、親しまれているのはなぜか? 同じような山体の黒姫山と妙高山の間の県境は、謙信と信玄の当時の勢力バランスでそうなっただけかもしれないと、勝手な解釈をした。

 妙高高原からは、妙高高原駅を経由して斑尾高原に向かうことにした。
 途中で、「ジル」の軽油が少なくなっていたので給油した。これまでの私の経験則だが、ガソリンスタンド(GS)を探すとき、最初のGSはちょっと小さく、そして価格は高い。2番目は大きなGSで、価格は少し安価。今回も、この経験則どおりの展開になった。それでも、軽油はリッター140円で、以前のガソリンの価格並みだ。
 ちなみに、2800ccディーゼルターボエンジンの「ジル」の車重は3トン、それでも、燃費は1リッターで10km強は走る。いいキャンピングカーだ。

 給油したGSの若い女性スタッフに、斑尾高原への道順を尋ねたところ、良く分からないとのことで、男性スタッフを呼んでくれて、丁寧に教えてもらった。ついでに、食材の購入が必要だったため、食品スーパーの場所を尋ねると、今度は、先ほどの女性スタッフがしっかりと教えてくれた。この分業にサンクス、サンクス。

 食品スーパーで、夕食の食材などを購入した。今夜は贅沢な晩ご飯になりそうだ。
 旅先の食品スーパーで見られる「地のモノ」は面白い。知らない魚の刺身や総菜が美味そうで、いつも気になって買ってしまう。加えて、100%生乳の牛乳や地方のメーカーが生産する袋麺(ラーメン)も必ず買ってしまう。これもキャンピングカーならではの旅の面白さなのだろう。

 そして、第三セクター「えちごトキめき鉄道」の始発駅の妙高高原駅に立ち寄った。ここは「しなの鉄道」の終着駅でもある。
 木造駅舎ではないが古い駅舎で、その中に入ったとき、改札口の向こうに、「えちごトキめきリゾート雪月花」の車両がホームに入っているのが見えた。初めて見た。
 それは新潟県上越地方を走るリゾート列車で、客席が窓の方に向かって並んでいた。車体は日本の原風景に調和する「銀朱色」とのことだが、雪原を走るときは美しく見える列車なのだろう。
 そこで、時刻表で運行状況を調べてみた。土日を中心に、上越妙高―妙高高原―上越妙高―直江津―糸魚川のルートを1日1往復運転していた。

 「雪月花」について詳しく説明できるほど理解していなかったので、調べてみた。