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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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 ところで、飛騨高山のグルメとして人気なのはブランド肉の「飛騨牛」、それを使ったすき焼きや肉寿司、ハンバーグやステーキも、かつて「朴葉味噌(ほうばみそ)」で食べたことがあるが、好きな味で旨かった。
 その他に「高山ラーメン(中華そば)」というご当地メニューがある。自宅近くのスーパーでも、その袋麺が販売されていて、全国的に知られた存在だ。街では中華そば屋が目につき、中には、かなりの人の列を作っている店もあった。インスタントの袋麺より、もちろん美味しいのだろう。

 高山市街をあとに、R158で安房峠方面に向かった。安房峠の手前の平湯トンネルまでは約900m上ることになる。アクセルを踏むと、ディーゼルターボエンジンはよく回り、もどかしさは全くない。そして、所々に立っている看板には標高が書かれており、確実に高度を稼いでいることが嬉しかった。
 実は今、手首にはめているのは、高度も表示される腕時計で、気圧センサーによるものだ。その数値と標識の標高値が異なっているのは、天気が変われば気圧が変わるためで、腕時計の値を校正する必要がある。校正しても、また天気が変われば、さらに校正が必要になるので、この旅では校正しないままだった。

 平湯トンネルの前では道路工事が行われており、片側通行になった。道路際にパーキングがあり、ちょうど昼時だったので、何か食べようと、そこに入り駐車した。
 湯を沸かして、カップ麺(きつねうどん)と鮎の甘露煮の軽い昼食を取った。そこは展望台でもなく、周囲は山の斜面のため、車窓風景は木ばかりだ。食べながら気づいたのは、平湯トンネルを抜けた先の平湯温泉街のどこかに「ジル」を停めて、昼食を取る方が良かったのではと。幾つもの車窓風景を見損なった気がした。

 平湯トンネルを抜けたあとは安房トンネルに向かはずだったが、間違って平湯側に入ってしまった。
 そこでは多くのクルマが駐車場に停まっており、さすが4連休だ。なぜか、平湯温泉街を回ってみようとは思わず、そこでUターンして引き返し、安房トンネルに向かった。
 平湯温泉は、かつては秘湯だったが、トンネルの開通などで行き易くなったため、全国的に知名度の高い温泉地になったようだ。今回はパスしてしまったが、次回は必ず、立ち寄り湯に入ることを決めた。

 安房トンネルは有料で、ETCで通過しようとしたが、係の人がいて一旦停止。なぜ? 一旦停止するタイプのETCなのか、いずれにせよ、北アルプスを西から東へ横切り始めた。
 このトンネルは、現地調査から33年、着工から18年の歳月を費やして開通。当初は2005年度末に開通する予定であったが、1998年長野オリンピックに間に合わせるべく急ピッチで工事が進められたとのことだ。

 安房トンネルを抜けた時、一瞬だが、山間から穂高連峰のいずれかのピークが見えた。その先で、左側に入る道があり、その先はジグザグな道が続くようで、安房峠(標高1,790m)に至るのだろう。
 この道は、いつかは走りたいと思っている。多分、対向車は殆どなく、ニホンザルやカモシカと遭遇することだろう。一般的には、交通量が殆どない山の中の道の陰の部分は往々にして苔が生え、木の枝が道側にはみ出ている部分もあるはずだ。あらかじめ、「日本道路交通情報センター」の情報を確認したうえで、心して臨むことにしよう。

 その先には「釜トンネル」の入口があった。そこは、上高地にクルマが入れる唯一の道だが、マイカー規制のため一般車は入れず、バスかタクシーのみが通行可能だ。
 絶景が広がる上高地はR158からは一瞬たりとも見ることができない。その「もったいぶり」が良いのだろう。釜トンネルと上高地トンネルを抜けたあとに広がる大正池越しに見える風景のオープニング、そして穂高連峰が見える河童橋、マイナスイオンしか存在しないような散策道、それらすべてが良くて、旅情をそそられてしまう。私にとっては常に憧れの地だ。

 上高地にはこれまで3回ほど、行ったことがある。
 1回目は秋、冒頭で述べた高校の修学旅行の旅先だった。クラスの集合写真は残っているものの、憶えているのは宿泊した五千尺ロッヂ(現:ザ・パークロッジ)の部屋の2段ベッドのみで、秋の絶景はあまり記憶にないのか、見ることができなかったのかは憶えていない。そういえば、翌朝の寒さには驚いた。

 2回目は盛夏の頃、ひとり、バイクで信州を走った際に、どうやって上高地に入ったのか憶えていないが、ネットで調べたところ、当時は、夏のシーズンのみマイカー規制があった。バイクも対象ならば、新島々(しんしましま)でバスに乗り換えたバスで入ったのかもしれないが、その記憶は全くないので、バイクで入ったのかもしれない。
 上高地では、バスターミナル→田代橋→梓川右岸(ウェストン碑→明神池)→明神橋→梓川左岸(河童橋→バスターミナル)をゆっくりと散策したはずだ。この順序で撮った写真が残っていた。

 3回目は初夏の頃、妻と二人のバスツアーで行った。大正池の湖畔から梓川沿いに河童橋までを散策した。風景はもちろん素晴らしく、ショッピングセンターなどでのウィンドショッピングが趣味の妻にとっても、感動を覚えたはずだ。それと、梓川の対岸に何匹ものニホンザルがいたことも憶えている。

 今回の旅で、もし上高地に行ったならば、季節的には上記の2回目と重なる。それに、4回目は、妻ともう一度と行くことに決めているので、今回は、釜トンネルの入口を見ただけにした。少し、後ろ髪が引かれる思いだったが・・・。

 梓川が流れる谷あいのR158は崖と谷に挟まれ、幾つものトンネルがある下り勾配の道で、「ジル」の運転には注意を要した。そのとき、フロントガラス越しに、山の背面から湧き立つ巨大な入道雲が見えた。それは見事なまでの盛夏の雲で、「ジル」を停めて写真を撮った。お気に入りの景色だ。
 さらに下ると、「白骨温泉(しらほねおんせん)」の道路案内標識が見え、ここまでの緊張した運転から解放されると思ったのか、無性に温泉に入りたくなり、R158から県道にハンドルを切ってしまった。

 その県道の所々は狭隘な道で、近づく対向車に注意しながら、左右から迫り来る真夏の緑に圧倒されながら、急な勾配のカーブが続き、覆道(半トンネル)やトンネルが幾つもあり、慎重な運転が続いた。幅員減少の警戒標識が繰り返し現れるこの道は「ジル」には優しくない道で、気が休まらず、緊張のレベルはアップしてしまった。

 道が二股に分かれるポイントに「白骨温泉」の看板が立っていた。
 そこを右折したすぐ先の右側に観光案内所があり、その横の駐車スペースがちょうど空いていたので、「ジル」を停めた。ここは以前、バイクで来たことのある場所で懐かしい。
 その時と同じように、観光案内所の対面にある「共同野天風呂」に入ることにした。その前に、「白骨温泉」の看板の裏手から下を覗くと、誰も入浴していない「共同野天風呂」が見えた。

 道に面した野天風呂の入口を潜り抜け、長い階段を下っていった。帰りはここを上るので、さっぱりした直後に再び汗をかきそうだ。