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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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 ということで、R20の終点の塩尻からR19を南下し始めた。塩尻が松本盆地の南の端にあるため、R19を走り始めると間もなく、左右の車窓風景に山が近付いてきた。
 暫く走ると、JR日出塩駅(ひでしおえき)の南側あたりのR19の脇に「是より南 木曽路」と書かれた看板が見えた。気のせいか、そのポイントから、山がドンドン迫ってくる感じになった。地理的には、R19の東側は中央アルプスの麓で、西側は乗鞍岳や鉢盛山の麓だ。

 このあたりのR19は、旧中山道沿いの奈良井川に沿って、その上流に向かうことになる。
 山間を縫うように走りながら、頭に浮かんだのは月並みだが、「木曾路はすべて山の中である」の書き出しで始まる小説「夜明け前」だ。その続きの内容は、木曽路の険しさに触れ、時が移るに連れて、木曽路に改良が加えられてゆく様が書かれているが、その先は知らない。ましてや、あらすじも知らない。この近代日本文学を代表する小説をしっかりと読んでいなかったことを悔いながらも、その「山の中」を次第に強く体感しながら、上ってゆく国道にアクセルを踏んだ。
 ちなみに木曽路とは、旧中山道のうち、美濃国と信濃国の境界部に当たる木曽地方の一部区間を指している。その境界部については、旧中山道の宿場で言うと、妻籠は長野県南木曽町で、馬籠が岐阜県中津川市だ。

 先ほど見た「是より南 木曽路」の看板から話が横道に逸れてしまったが、逸れついでにもうひとつ、岐阜県北部の美濃地方のR19には、「是より北 木曽路」の看板はあるのだろうか。
 旅が終わった後に調べたところ、「是より北 木曽路」の石碑は、岐阜県中津川市の旧中山道馬籠宿から落合宿間の新茶屋集落にあり、R19にはなさそうだ。

 御嶽山の麓の開田高原に向かうR361の分岐点までは、それほど距離はないのだが、道の駅が4つもあった。多分、R19の交通量が多いためだろう。
 最初の道の駅「木曽ならかわ」に立ち寄った。駅舎の「木曽くらしの工芸館」に入ると、木曽漆器がずらりと並び、工芸品から普段使いの暮らしの道具などもあり、素晴らしいものばかりだった。必要なものはなかったので買わなかったが、妻がいれば、多分、幾つか買っただろう。

 木曽路の11宿の中でも、妻籠、馬籠、そして奈良井の3つの宿には往時の雰囲気は特に残っており、これまでに幾度も訪れたことがある。その中でも奈良井宿は「奈良井千軒」と呼ばれるほど大きな宿場町で、その通りは少し勾配があり、且つカーブしているため、写真素材としてはベストな佇まいだ。
 今回は、その奈良井宿の中をゆっくりと「ジル」で走ってみようと思い、奈良井宿の手前から奈良井川を渡り、中央本線の踏切を渡り、JR奈良井駅まで行ったところ、旅行者の車の通行ができない旨の看板があり、残念ながら諦めざるを得なかった。
 来た道を引き返し、R19に戻ったところに、道の駅「奈良井木曽の大橋」があったが、物産販売などの駅舎はなく、立ち寄らずに通過した。

 その先には、旧中山道の難所だった鳥居峠(標高1,197m)があり、その東側を北に向かって流れる奈良井川(信濃川水系)と、西側を南に向かって流れる木曽川(木曽川水系)がある中央分水嶺だ。そこをR19は新鳥居トンネルで通過している。 
 トンネルを通過して間もなく、右の車窓には木曽川が見え始め、その先の道の駅「木曽川源流の里きそむら」で小休止。

 4つ目の道の駅「日義木曽駒高原」には立ち寄らず、その先の木曽福島の手前からR361に入り、開田高原に向かった。 
 標高はどんどん上がってゆく。その先の新地蔵トンネルを抜けると、一気に、高原らしい風景になった。夕焼けに染まる高原を期待していたが、夕方の天気予報は、山間では雷を伴う激しい雨とのこと。そのとおりの空模様になってきた。

 開田高原の中心地がよく分からないまま走っていると、森林鉄道のディーゼル機関車が見えたので、そこの駐車場に入って写真を撮った。もう現役ではないとのこと。連結された短い客車はレプリカだと思ったが当時のものだった。そう教えてくれた高齢の男性の話は続き、当時は、理容の車両もあったとのこと。生活味溢れる森林鉄道だったようだ。

 その場所にあった観光案内所に入って、開田高原のマップを入手し、車中泊の場所について伺ったところ、開田高原には道の駅はないが、朝まで停められるパーキングがあり、そこにはトイレもあるという。その場所を教えてもらった。
 そのとき、大粒の雨が降ってきたので、走って「ジル」に戻って、今からどうしようか考えていると、雷がバリバリと何回も落ちるため、走らず、雷が収まるまで暫く待つことにした。
 「ジル」に雷が落ちたならばどうなるのかしらないため、今度、バンテック社に訊いてみよう。

 雷が止み、雨脚が弱くなったので、教えてもらったパーキングに向かった。
 到着したパーキング全体を眺めると、その中央通路を走れば、ここまで走ってきたR361の先のT字路の交差点をショートカットできそうで、夜間、そこを抜けるクルマがあるならば、静かな夜を邪魔されそうな気がした。そもそも交通量が少ないので、要らぬ心配かもしれないが・・・。

 開田高原のマップによると、そのパーキングのすぐ先に、御嶽山を見渡せる「柳又(やなぎまた)ビューポイント」があるとのこと。雨はあがったものの、今は期待しても無理だと思いながらも、そこまで行ったところ、やはり、霧が出ており、御嶽山は全く見えなかった。
 霧がさらに濃くなってきたので、先ほどのパーキングまで戻ったが、どうも、ここで車中泊する気分にはならなかった。そこで、観光案内所側にもうひとつ、小さなパーキングがあったので、そこに行ってみることにした。
 そこは、R361沿いのトイレのあるパーキングで、こちらの方がベターな感じがしたので、ここで車中泊することに決めた。

 夕食は、酸辣湯ライス、味噌汁、まだ残っていた鮎の甘露煮、デザートはリンゴ、そしてコーヒーを飲みながら、今日一日の「旅のメモ」を書きながら、ロードマップに、今日の走行ルートをラインマーカーでトレースした。
 これで就寝前のルーティーン作業は終わった。今日は、北上して白馬まで行くはずが、南下して御嶽山の麓の開田高原になってしまったが、それが「キャンピングカーの旅」らしくて、いいね!と思いながらも、明日は白馬に行くことを決めた。

 眠りに就きながら思ったのは、開田高原にも道の駅が欲しいということだった。
 先ほど、観光案内所に立ち寄り、開田高原のマップを入手したが、多分、そのあたりが高原の中心地だと思われるが、そこに道の駅ができれば、集客力がUpし、町おこしにもつながるはずだ。多分、別荘の住人にとっても、ウエルカムだと思うが・・・、これからに期待したい。