悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅
■旅の2日目:駒ヶ根高原⇒開田高原(長野県木曽郡木曽町)
【今日の走ったルート】 駒ヶ根高原から伊那盆地に下ってから北上、伊那から桜の高遠(たかとお)へ、そこからは南アルプス北部を走り抜け、杖突峠(つえつきとうげ)から茅野(ちの)に下り、諏訪湖を左回りで回り、塩尻(しおじり)をかすめて、旧中山道の木曽路(R19)を南下。御岳山(おんたけさん)の麓の開田高原(かいだこうげん)のパーキングで車中泊。
【この日の忘れられない出来事】 駒ヶ根高原の池や湖の畔から、中央アルプスの宝剣岳や千畳敷カールの風景を暫く見ていたこと。その時に撮った写真には、水面に逆さ宝剣岳が写っていた。
【旅の内容】 5時に目が覚めた。
私のセカンドライフの日常は、眠くなったら寝て、朝は目覚まし時計は使わず、目が覚めたら起きる自然なスタイルだ。それでも、睡眠時間はおおよそ6~7時間で、身体的な疲れによる睡眠時間の差はあまりなく、多分、眠りの深さが異なるのだろう。
日常から非日常に変わった旅の初日は、多少の疲れを感じたのか、いつもより少し早く寝てしまった。その結果、今朝は早く目が覚めてしまったようだ。多分、今夜も明日も、そうなるだろう。その結果、一日の活動時間が長くなるので、早い目覚めは大歓迎だ。
バンクベッドの小窓から外を見ると、今日も晴れそうな雰囲気だ。それに誘われて、川沿いの遊歩道を散策することにした。
冬の旅では、少し厚手のパジャマを着て、布団に入っての就寝だが、夏は、昼も就寝時もTシャツと半ズボンなので、寝起きのままの姿で外に出た。
早朝の今、手前の山にはまだ朝日が当たっていなかったが、その奥の中央アルプスの幾つかのピークは、朝日に、見事なまでに浮かび上がっていた。この、太田切川に架かる赤い駒ヶ根橋から奥に広がる美しい朝の景色の写真を撮ることができた。
15分ほどの散策のあとの朝食は、コーヒーを飲みながら作るホットサンドだ。
100Vの電源に接続する家電のホットサンドメーカーは、サブバッテリーの電力をかなり消耗するため、アウトドアで使うタイプのものをガスコンロで作る。
まずは、ホットサンドメーカーで、しょう油味の卵焼きを作り、その上に食パンを載せてひっくり返し、卵焼きの上にとろけるチーズとハム、そして別の食パンを載せ、ホットサンドメーカーを閉じて、時々、食パンの両面の焼け具合を見ながら・・・、こんがりと焼ければでき上がりだ。
失敗の少ないホットサンドは、おじさんのひとり旅にはもってこいの朝食だ。何でも挟めばできてしまうホットサンドメーカーは使い勝手が良くて重宝する。
コーヒーをもう1杯、牛乳も飲みながら、ホットサンドとバナナをゆっくりと食べながら、先ほど撮った朝の風景写真を見たところ、宝剣岳のみならず、その下の千畳敷カールや中央アルプス駒ケ岳ロープウェイの山側の「千畳敷駅」までしっかりと写っていた。
「キャンピングカーの旅」の二日目の出発準備は以下のとおりだ。
まずは、朝食で使ったコーヒーカップや皿を洗って片付けて、ホットサンドメーカーはキッチンペーパーで磨き上げ、シンクもきれい拭き上げた。次に、ダイネット(運転席の後部のキッチン付きのリビングスペース)のテーブルの上を片付けだ。それから、冷蔵庫から冷えたお茶とコーラを取り出して、運転席にセットした。
そして運転席に座って、今日の走行ルートの最初の目的地の高遠城址をナビにセット。これで出発準備を完了した。
昨日会話したキャブコンの夫婦は既に出発していた。愛媛から走ってきたので、私と同じ方角ならば、どこかで再会するかもしれない。
「こまくさの湯」の駐車場をあとに、県道を少し上り、赤い駒ヶ根橋を渡ったところのT字路の山側に、「車両通行止め この先650m 指定車・許可車を除く」の看板があったが、その場所まで行ってみた。
やはり、そこから先は進めず。中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイの山麓側の「しらび平駅」まではバスに乗るしかない。自家用車がそこまで上れるならば、広大な駐車場が必要になるし、自然保護の面でも、限られた車の運行だけが良いのだろう。できれば、EVバスがベストだ。
今回はロープウェイには乗らなかった。
今、乗れば、次第に迫って来る雄大な中央アルプスの景色や、眼下に見えてくる駒ヶ根高原を眺めることができ、山側の「千畳敷駅」からは、南アルプスの山々、その手前に広がる飯田盆地の素晴らしい景色が待っているのだろう。
山容を眺めるのが好きな私にとっては絶好のチャンスだが、それをひとりで見るのはもったいない気がしてしまい、今度、妻と来る時に乗ることに決めて、坂道を下っていった。
木々の間から、つり橋(こまくさ橋)が見えたので、近くの駐車場に入った。
まずはつり橋を渡り始めると、多少の揺れが気になった。怖くなるほどの揺れではないが、他の人も渡っているならば、予想できない揺れが起きるのだろう。そんなことを思いながら、つり橋の下を見ると、かなりの大きさの石、いや岩が、太田切川を埋め尽くしていた。
中央アルプスで、最初の一滴から始まったこの川が、長年掛けて、広大な扇状地の駒ヶ根高原を形作った自然の途方もない大きさを感じた。
つり橋の上から、少しは期待したのだが、手前の山が邪魔していて、中央アルプスは見えなかった。
渡り切った対岸は昨日、甘露煮を買った「駒ヶ根ファームス」だった。
少し揺れるつり橋を再び渡って戻ってからは、橋のたもとから川面まで続く階段を降りて、水際から手をつけると冷たい。それは、できたばかりの新鮮な水の温度なのだろう。
この一帯は「森と水のアウトドア体験広場」という場所で、少し歩いてみると、「アルプス体験館」があり、展示物や資料をざっと見て回った。そこから先はスポーツ関連のフィールドだったので、興味がなかったため、「ジル」まで引き返した。
駒ヶ根高原には幾つかの池や湖があり、その二つを見て回ることにした。
再び、駒ヶ根橋を渡り、「こまくさの湯」の前を走り、最初に向かったのは「駒ヶ池」で、一辺が100mほどの四角い形をしていた。
高原の中央を走る県道75号線の横にあるにも拘わらず、この木々に囲まれた静かな佇まいが気に入った。その池畔をのんびりと歩いて一周しながら、水面に映る宝剣岳や中央アルプスの峰々の写真を撮った。
この池の奥にある「大沼湖」にも行った。
周回はしなかったが、宝剣岳が見えるポイントで暫く、その風景を眺めながら、何枚も写真を撮った。ここは四季の美しい写真が撮れるのだろう。
魚釣りをやっている二人の若者がいたので、声を掛けたところ、まだ釣れていないとのこと。先ほどの駒ヶ池には大きな魚がいたよと教えた。いるから釣れるとは限らないが・・・。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅 作家名:静岡のとみちゃん