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ススキノ レイ
ススキノ レイ
novelistID. 70663
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ウィタセクスアリスー言の葉の刃

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 「へえ、10代の美少女が言い寄ってきても断れるんだ?」
 「そりゃちょっと食指が動くかもしれないが、話が合わなかったら無理だよ」
 「あら、下半身が合えばいいんじゃないの?話は二の次でしょ」
 「そんなにいじめてくれるなよ。そもそも下半身を合わせる以前の問題だ。見た目もあるけどやっぱり話していて興味を持てるからこそもっと深く知り合いたいと思うものだろう」
 「その結果、私と深い仲になった。それからどうしようと思ったの?」
 「以後も継続的に君を抱きたいと思ったよ」
 「それはつまり継続的にヤリたかったってことですよね。愛してるから愛おしいから抱きたいのではなく、快楽を得たいから。ましてや話をしたいんじゃなく。そういう関係になってから話なんてあまりしなくなっちゃってたでしょうに。私はもっと話を聞いて欲しかったんですけど」
 
 俺は彼女の体が欲しかったには違いないが、それ以外の何かも求めてはいたんだ。何かと言われたら、彼女が彼女であること、とでもいうか。そう、俺は他の誰でもない彼女を求めていた。彼女の内面に年齢にそぐわぬ大人っぽさや色気を感じてもいた。彼女が俺を好きになってくれたから渡りに舟だったところもあるが、他の女と寝たいとは思わなかった。彼女と同年代の女の子は俺にとってはどうしても子供としか思えなかったし、欲情の対象外だ。
 どういえばいいのか、彼女には俺にとって何かそそるものがあったのだ。外見的に決して派手でも煽情的でもなくむしろ胸も小さく地味なのだが逆に中性的な色気があった。彼女との会話にセクシーな魅力を感じて彼女に興味があった。リスクはわかった上で彼女を抱きたいと思った。時々でいいから彼女を抱けたらもうけものだくらいに思っていた。
 とはいえそれ以上でも以下でもなく。
 だから彼女に「体が欲しいだけなのか」と言われると難しい。決してそうではないのだが、妻と別れて彼女と結婚したいとは思わなかったし、それでいて彼女を失いたくもなかった。まあ、これは俺の身勝手だ。
 あの頃のバブル前夜のような、若者たちが性にあけすけだった時代の風潮もあったかもしれない。今から思えばかなりとんでもないことがまかり通り、男女ともに肉食系だったような時代だ。だから彼女も俺が最初の男だというだけで、いずれ近いうちにボーイフレンドを作って離れていくのだろう位に漠然と思っていただけで、あまり先のことは考えていなかった。
 そういえば彼女が大学生の頃、かつての同級生の男子学生と一緒に訪ねてきたことがあった。妻は彼女がその男子と付き合っていると思っている節があり、これは恰好のカモフラージュになるな、とずるいことを考えもした。俺としては愛弟子の彼は性格もよく優秀だったし、それはそれで結構なことだと思っていたのだが、どうも立ち消えたらしい。あるいは、彼女自身、師弟ともに関係を持つような状況を避けたのかもしれない。確かにそうなってしまったら俺としても居心地が悪いが。
 まあ俺は彼女を愛おしいとは思っても、必要、とまでは思っていないし、体が欲しかっただけ、と言われればそうなのかもしれないが。
 当時彼女に、自分の幸福を確保したうえでちょいと遊んでいるだけなのか、みたいなことを言われ、いや、俺だって相当なリスクを背負ってこうしているんだから、と反論したことがあった。何しろ彼女は10代で、処女で、教え子だったのだから、これ以上リスキーな女はいない。今思えば一体俺は何を考えて手を出してしまったのか。自分の意思で彼女を求めたはずでその覚悟はしているつもりだったが、どこかで彼女に誘われたから仕方ない、と思っている部分もあった。しかしリスクというなら彼女にとっても俺とこうなっていること自体、人生を賭したリスクだったのだ。彼女は本気で俺に惚れていたのだから。彼女は俺に重くうっとおしい女と思われまいとしてか、あえてそっけなく気丈にふるまっていたが、俺には彼女が全身全霊をかけて真剣なのを薄々わかってはいた。それなのに、俺は逃げ場を作るため気づいていないふりをするしかなかった。俺は彼女を全面的に受け止めることはできないのだから。彼女の意思でいつか諦めてもらうしかない。その時が来るまでは俺と遊んでくれ。彼女は俺の前で涙を見せたり甘えたり弱音を吐くことは一切なかったので当時の俺は彼女の本音をわかっていながら、彼女が演じる強い女の子像を都合よく利用していたともいえる。
 
 「確かに言われてみればそう思われても仕方ないけどね、ゆっくり時間が取れなくなってしまったからね」
 小心者の俺は彼女と逢いながら片時も妻を裏切る良心の呵責やリスクを忘れはしなかったし、緊張を緩めることができなかったので、気安い話もしなかった。こじれることを回避するため彼女とは深刻な踏み込んだ会話を避け、彼女自身もややこしい話を振ってくることはなかった。結果、ろくに話をしなくなった。表面的な体の付き合いになっていた。
 
 「当然、話よりエッチ優先にきまってますよね。まあ、人類が滅びないために男の性欲があるんだというから。でも、男にとっては、愛のある性行為も強姦も同じく快楽をもたらすんですよね。例えば、歴史の教科書には異民族の侵入で文化が伝搬とかさらっと書いてるけど、それって殺戮と強姦の結果ですよね。そうそう、中央アジアのほう行くとね、ヨーロッパ系の顔立ちの人もモンゴロイド系の人も混在してるんですよ。アレクサンダー大王の遠征とかチンギスハーンの侵攻の結果ですよねえ。強姦して混血していったんですよね。ヨーロッパ中に聖剣伝説が流布したのもベースになった北欧神話がバイキングによって伝わったから、とかいうじゃない。バイキングが来たってことはそこにも殺戮と強姦が行われたってことですよ。結局、人間ってさ、暴力によって地球にはびこり存続してきたってことよね。しかも今も戦争ばかりして全然進歩してない。戦闘員同士が戦って命を落とすだけでなく、爆撃されたり強姦されたりの被害にあうのっていつも非戦闘員ばかり。こんなろくでもない種は滅んでいいわ」
 「なんか話がやけに大きくなってきたけど」
 「性欲の話ですよ。暴力や性欲の犠牲になる女たちが昔から絶えないって話。私そういう女性たちにひどく共感するんですよ。女性にとって性行為ってけっこう人生に影響しますから。先生は私と初めてした時のこと、覚えてます?」
 「ああ、もちろん」
 「何月何日だった?」
 「いや、それは、卒業した後だから春だとは思うけど3月か4月か」
 「はずれ。ですよねえ、私以外そんなもん覚えてやしませんよね。ちょうど今頃ですよ」
 そうだったか。悪いがさすがに日にちまでは覚えていないよ。どんなことをしたか、も実はそれ以後の付き合いのどれかと混同しているし、実は初めての時と言われても記憶はあいまいだ。
 
 「まあ、いいや。私は恋愛してエストロゲン出まくって記憶力がバク上がりしてたんでしょうよ。受験生なんだから試験にでることを記憶してりゃよかったんですがね。あの時のことが忘れられないんです。だって『処女じゃないんだ、諦めろ』って怒られながらペニスを突き入れられたんですよ」
 「え、ちょっと待って、俺はそんなこと言ったのか?」