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まもなく時効

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8〇八神家(外)
   漣が家に帰ろうとする。ガチャンと窓ガラスが割れる音がする。家に火
   がつく。家の中に文子と朔太郎がいる。漣慌てて家の中に入る。
文子「何?えっ?火が」
漣「お母さん」
文子「ちょっと火よ。キャア、窓からなんか投げられて。お父さん。逃げて。キャア、火が」
   漣、急いでお風呂の浴槽の水をすくって火にかけて消す。
漣「消えたみたい」
文子「何今の?信じられない。私たち死んでたかもしれないのよ。お父さん大丈夫?」
朔太郎「ああ、大丈夫だ」
漣「ひどいいたずらだ」
文子「いたずらなんてものじゃないわ。犯罪よ。犯罪。殺人未遂よ」

9〇八神家(夜) パトカーの音
   八幡陽介(30)が文子、一楓、漣に事情聴取をする。
八幡「ええ、では何者かが窓ガラスを割って火炎瓶を」
文子「はい」
八幡「手製の火炎瓶だな。火はすぐに広がらなかった。手口からして素人だが、家が全焼する可能性がないわけじゃない」
文子「そう、もう私びっくりしたってもんじゃなくて」
八幡「奥さん、何か誰かに恨まれてることとか心当たりありませんか?」
文子「それがないんです」
八幡「何も?」
文子「はい。何も。主人も恨まれてるとか何もないと思います」
   八幡、一楓と漣の方を向く。
八幡「君たちも何か恨まれているようなことはない?」
漣「何も」
一楓「特には」
八幡「分かりました。ご協力ありがとうございました。捜査はまだ続けますが質問は以上です」
   八幡、八神家を出てパトカーに乗りパトカー発車する。
一楓「どういうことだろう」
文子「本当」
   漣黙っている。
一楓「漣あなたおばあちゃんの写真ホームページに載せたでしょ。信じられない」
漣「でもそれとこの事件とは話は別だよ」
文子「いいえ。神様が見てたの。神様が悪いことをしたことに対して、災難をもたらしたのよ」
漣「そんな。じゃあ、俺が悪いのかよ」
   インターホンが鳴る。文子玄関に向かい、ドアを開ける。霧島と吉永が
   現れる。
霧島「警察です。横浜県警のものです」
文子「あら、警察の方。さっきもいろいろ聞かれて全部答えました。知ってることは全部」
霧島「いえ、別件なんですが」
   漣と一楓も玄関に現れる。
文子「別件といいますと」
霧島「ええ、私タカミネパン毒物混入事件を担当している霧島というものですが、こっちが吉永。先日お宅のお子さんがホームページに載せた写真に気になるものが写ってまして。君かな写真ホームページに載せたのは?」
漣「ええ」
霧島「あの写真はどこで手にしたんです?」
漣「おばあちゃんの箪笥を整理してたら出てきて。病院に持っていくものをまとめてて」
霧島「おばあちゃん?」
文子「あの写真のことですね。あれはうちの母が写っていて。それが何か?」
霧島「おばあさまでしたか。問題はおばあさまの方ではないのですが」
文子「と言いますと」
霧島「我々が知りたいのはおばあさまの後ろに写っているレインボーシャツの男です」
漣「えっ?レインボー」
霧島「我々が疑っとるのはそのレインボーシャツの男がタカミネ事件の犯人ではないかと思っちょって」
   文子、一楓、漣顔を見合わせる。
霧島「PCのホームページだと合成の可能性がありますんでのう。よう調べたいんですわ。現物の写真があったら見せてもらえませんか?それがあったら犯人のアリバイが崩れて事件が解決に」
   朔太郎が出てくる。
朔太郎「そんな写真はない。あれは孫のいたずらだ。パソコンか何かで作ったものだ。そんな写真は存在せん。帰ってくれ」
霧島「あの写真は存在しないと」
朔太郎「ああ、そうだ。合成とかいうやつだ。ない。早く帰った。帰った」
   霧島と吉永、顔を見合わせる。
霧島「分かりました。今日のところは帰らせてもらいます。では失礼します」
   霧島、八神家を出てパトカーに乗り立ち去る。
作品名:まもなく時効 作家名:松橋健一