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まもなく時効

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4〇横浜市中区ドヤ街
   霧島真司(52)が簡易宿泊所に泊まる松井弘(60)と路上で将棋を
   指している。ギャラリーがいる。
松井「刑事さん。それじゃあ、その角ただ損だよ。いいのかい?」
霧島「なら取ってみいや」
松井「へえ、強気だね」
   住人駒を取る。
霧島「角を失って桂馬を取るき。そしてほな」
   霧島持ち駒の桂馬を指す。
霧島「これでどうや」
松井「あっ、やべえ王さん逃げるしかない」
霧島「王さん裸になっとたな。角を捨てて桂馬を取り王手をする」
   吉永一輝(28)がやってくる。
吉永「霧島さんここにいたんですか?」
霧島「ああ、吉永」
吉永「何してんですか?いくらここが管轄だからって……」
霧島「かけ将棋をしていたからな。戒めをしていたんだ」
吉永「それでなんで将棋なんかしてるんですか」
霧島「ああ、流れでな」
吉永「将棋なんかやってる場合じゃないですよ。ましてやこんなドヤ街で。ここの住人達と一緒に……」
松井「何だお前は」
吉永「刑事です。霧島さんタカミネ事件がまもなく時効なんです。あの毒物混入事件が」
霧島「わかっちょる。まちいや。今終わるから」
吉永「これで終わりです」
   と吉永、霧島の駒をすすめる。
松井「へっへっじゃあ王手で終わりだな。逆転勝利」
霧島「勝手なことすんな」
吉永「さっきも言ったでしょ。こんなことしている場合じゃないって」
   二人将棋を指すところから立ち去る。吉永小声で。
吉永「何すか。本当ドヤ街の連中と将棋なんか打って、ここいら辺はヤクザとかがいっぱいいるんですよ。署の連中に知られたら」
霧島「ヤクザもん相手にするのが俺たちの仕事だ。タカミネ事件やろ。わしもよう考えちょる。ただな。待つときは待たんとあかんのや」
吉永「待つってもう時効が」
霧島「時効もせやけど、気になる写真を見つけてな」
吉永「気になる写真?」
霧島「タカミネ事件のホシ、テレビ局のイベント関係者だったそうだが」
吉永「ああ、言ってましたね。日本初のチャリティー番組の」
   二人立ち止まる。
霧島「あのチャリティー番組のスタッフで事件の直後、局を辞めたやつがおったが。なんやそいつずっと睡眠もとれんと働いて精神的に病んで」
吉永「確かにタカミネ事件のまもなくって話でしたよね。でもそいつはアリバイがあって逮捕に至らなかった」
霧島「チャリティーシャツや」
吉永「チャリティーシャツ?」
霧島「そうチャリティーシャツ。番組関係者しか持ってないシャツ、番組放送後は回収しているシャツなんだ、このレインボーのデザインが入ったチャリティーシャツを着ている人が限られとるねん」
吉永「それで?」
霧島「そのレインボーのシャツが写っている写真が見つかった。今その写真から場所を特定させている。ちゃんと捜査しとるき。まちいや」
   霧島歩き出す。一旦考え事をして取り残される吉永。すぐに霧島を追い
   かける。
吉永「待ってください。霧島さん。そのお話よく聞かせてください」

5〇節子の水着姿の写真
作品名:まもなく時効 作家名:松橋健一