まもなく時効
25〇八神家(夜)
信之と文子がいる。
信之「そんなことがあったのか」
文子「やっぱり警察に提出したほうがいいのかな。あの写真」
信之「お義父様が嫌といってるからしょうがないだろ」
文子「でも、事が事だし」
信之「本当亭主関白の鏡みたいなお義父様だ。店をやってても昔から客に頭を下げたことがなかったみたいだし」
文子「そうねえ。そういう父だった」
信之「俺が婿入りするときも、あんときは怖かったなあ。店の「やがみや」の娘の名前を変えたくないから苗字を八神で変えないことで、結婚を承諾してくれた。あんときは何も言えなかった。怖くて」
文子「お父さんにとって一人娘だったから」
信之「さっきの写真見せて」
文子信之に写真を差し出す。
文子「これ」
信之「本当。美人だなあ。お義母様。スタイルもいい。昭和初期にこんな人がいたんだ」
文子「定食屋やってた時は、お母さん目当てで来てた客もいっぱいいたそうよ。店の看板娘で。四十代の時も看板娘だったのよ」
信之「看板娘かあ」
26〇節子の水着姿の写真