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マトリョシカの犯罪

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 この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和5年5月時点のものです。いつものことですが、似たような事件があっても、それはあくまでも、フィクションでしかありません、ただ、フィクションに対しての意見は、国民の総意に近いと思っています。今回の事件は、実際にある警報機かヒントを得ました。自分が焼け死ぬことのないように、自分ながらに、祈っています。

                火災警報器

 火災警報器というのは、たいていのビルにはついている。
 いや、ついていないと、
「消防法」
 という法律に引っかかるだろう。
 そもそも、そんな法律などなくとも、火災警報器や、消火器がないといけないということは、常識から考えて分かることだろう。
 警報機というと、火災警報器だけではなく、ガス警報器であったり、漏電の警報機などもあり、都会のビル群であったり、マンションなどが建ち並ぶ、住宅地では、常備されていて、警備会社と連動しているのが当たり前だ。
 さらに、警報機は分電盤ともつながっていて、警報機が鳴ったり、警備会社に通報されるようになっている。
 このような、火災であったり、ガス、漏電のような、
「直接事故につながる」
 というものだけではなく、普通によくあるのは、
 入り口の施錠であったり、戸締りの警備などという、
「空き巣や強盗対策」
 というのも当然、警備会社に繋がっている。
 特に最近の警備というのは、エレベーターとも連動していて、
「戸締りがしてあって、警備が掛かっているところには、エレベーターは止まらない」
 ということになっているところが多い。
 だから、時々、入管する時に、最初に警備を解除してから、エレベータの停止階を押さないと、ボタンが効かないようになっているのに、そのことを忘れていたり、知らなかったりすると、
「非常階段から行ってみよう」
 ということで、一階の非常階段をあけて、自分の行きたい階まで階段を使って上がっていくが、
「考えてみれば、カギはかかっていて、開くわけがない」
 というわけだ。
 なぜなら、自分の行きたい階の非常階段は、最初から内側からカギがかかっているものだ。
 そうではないと、
「いつ、強盗や空き巣から、非常階段を使って入られるか分からない」
 からである。
 ただ、いくら非常階段から上がって、その階の踊り場に行けたとしても、そこで、警備が作動して、警備会社が来たとして犯行は終わっていても、防犯カメラが作動していることで、
「どうしようもない」
 ということになるだろう。
 それを考えると、
「防犯と、災害に備えるための防犯を一つにしているというのも、間違ってはいないのかも知れない」
 しかし、それには、たまには、うまくいかないこともある。
 それを証明したのが、
「栄ビル」
 というところであった。
 そのビルは、少し歪な作りになっている。
 まずビル自体、設計としては、おかしいわけではない。というのは、
「1フロアに、1事務所」
 ということで、一つの階には、一つの会社ということなので、その階の最期は、その会社の警備ということになる。
 ということは、
「警備においては、同一の階に、他の会社はいないのだから、自分たちがしっかり管理していればいい」
 ということである。
 警備においては、実際には楽なのだが、一つ大きな問題があり、そのあたりのもめごとがあったことで、警備会社の、
「ずさんな管理」
 というものが、浮き彫りになった。
 その会社は、いわゆる、
「1フロア、1事務所」
 というオフィスビルが、2階から、5階まで入っていた。
 エレベーターは一つで、一番奥に、非常階段への入り口があったのだ。
 それぞれの階には、今会社がすべて入室されていて、6階部分が、
「管理会社のフロア」
 になっていたのだ。
 普段は、管理会社が日中は管理しているのだが、4階にある事務所が、3年前に入ってきたのだが、その事務所が、夜間も業務していて、一般における勤務時間が、他の会社でいうところの、業務時間で、その人たちは、
「日勤者」
 ということになる。
 しかし、夜は、仕事といっても、自動で流られるシステムの監視業務というもので、実際には、
「一人いればいい」
 ということであった。
 基本的に何もないはずなので、ここの処理が終了すれば、システムでメールがくることになる。
「成功すれば、処理完了メール、失敗すれば、異常終了メールが、来るという仕掛けになっている」
 そんな会社ビルの警報機に、最近は、
「誤報が多い」
 という。
 実際に、警報が鳴るのは、夜にかけてなのであるが、その時間帯は、それまで、あまり人がいなかったので、気にならなかった。
 しかし、4階にある会社が、一度は辞めていた夜間監視を、また行うようになってから、そのことが露呈したようだった。
 最初に警報が鳴ったのは、日曜日だった。
 他のビルは皆休みで、4階事務所の会社だけが、業務に従事していた。さすがに、その音の激しさに、ビックリさせられたのだが、一階にある警報盤のところに、警備会社の電話番号があったので、急遽そこに電話した。
「栄ビルに入ってる者ですが、警報機が鳴り出したんですが」
 と入れると、警備会社の方から。
「ああ、栄ビルさんですね? こちらでも感知し下りますので、今すでにそちらにむかっています。ご到着まで、少しお待ちください」
 ということであった。
「そうですか、じゃあ、よろしくお願いします。かなり、音が大きいので、なるべく早くお願いします」
 といって、彼は、4階の事務所に戻った。
 彼は、日曜日の昼勤の男性で、名前を山田と言った。
 山田は、どちらかというと、
「余計なことを気にしない」
 というタイプで、何があっても、
「なるようにしかならない」
 というタイプだった。
 しかも、彼はここに入っている、株式会社コンビというところの社員ではない。
 派遣会社の人間で、言ってみれば、
「そこまで、責任がないといってもいいだろう」
 ただ、報告義務とか、与えられた最低業務だけは、キチンとこなしているので、コンビとしても、ある意味、
「扱いやすいタイプだ」
 といっていいかも知れない。
 そんな、山田の仕事ぶりは、当然のこと、実に無難であった。
 もし、彼を評価するとすれば、
「可もなく不可もなく、とにかく無難な性格」
 といってもいいだろう。
 仕事内容もまさしくその通りで、必要以上のことは一切せず、人によっては、
「融通が利かない」
作品名:マトリョシカの犯罪 作家名:森本晃次