小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

自己バーナム

INDEX|1ページ/19ページ|

次のページ
 
 この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和5年4月時点のものです。いつものことですが、似たような事件があっても、それはあくまでも、フィクションでしかありません、ただ、フィクションに対しての意見は、国民の総意に近いと思っています。このお話は、真実っぽい過去の話はあっても、あくまでも、登場する国家、政府、関係者、組織は架空のお話になります。国家や省庁で、どこかで聞いたようなところも出てきますが、あくまでもフィクションです。

                離婚まで

 日下部真一が、最後に女性を好きになったのはいつのことだっただろう。
 日下部は、今年で50歳に突入し、そろそろ、身体としても、限界というか、老化の減少が、音を立てて忍び寄っていることを、ひしひしと感じられるようになってきたのだった。
 そんな日下部は、バツイチだった。25歳から付き合っていた女性と、30歳手前で結婚し、3年という短い間であったが、結婚生活を営んだ。
「まだまだ、新婚だ」
 と思っていたにも関わらず、別れることになったのだが、その理由は、正直分からない。
 結婚生活よりも、交際期間の方が長かったわけで、交際期間は、いつもラブラブだった気がする。
「あの二人は、いずれ結婚する」
 とまわりは、信じて疑わなかったし、
「それがいつになるか?」
 ということだけで、
「時間の問題だ」
 と言われていたのだった。
 もう少し経つと、
「長すぎた春」
 と言われていたことだろうが、実際に結婚したことで、
「ちょうどいいくらいだったんじゃないかな?」
 と言われるようになっていた。
 結婚しようと思うようになると、結構いろいろ面倒なこともあった。
 まずは、
「どちらの親から挨拶に行くか?」
 という問題という問題であったが、
「基本的に、まずは、もらい受けたい側である、女性側の親から挨拶に行く」
 というのが、普通のようだ。
 だが、今から、20年も前のこととなると、ネットで検索する習慣ができる少し前くらいだろう。
 それほど、情報が充実していたというわけでもないので、調べたとしても、ハッキリとした回答が得られたかどうか、定かではないだろう。
 それでも、
「普通に考えて、女性側から」
 ということで、女性の親に挨拶に行った。
 その時は、相手の親もいい人で、そもそも、
「友達」
 ということで、元々顔も知っていたし、たまに、
「食事でもしていきなさい」
 と言ってくれていたので、緊張はしたが、
「いずれ、義父になる人だ」
 ということも考えていたので、
「ありがとうございます」
 といって、
「お言葉に甘えていた」
 のだった。
 そのおかげで、女性側の親には、スムーズに話ができた。
「こうなれば、もう、心配はないだろう」
 と二人とも、安心していた。
 彼女の方も、男性側の父親と面識もあり、
「いい娘じゃないか」
 という、
「お墨付き」
 のようなものを貰っていたのだった。
 だから、男性側の許しは簡単にもらえるのはもらえたが、どこか、父親は何かに引っかかっているようだった。
 母親が、少しして、その理由を教えてくれた。
「お父さんは、あなたが、先に向こうの親に挨拶に行ったことが気に入らないのよ」
 というのだ。
 父親は基本的に、
「物分かりのいい人」
 ではあったが、たまによく分からないところで、期限を壊すことがあった。
 どこかに、着火点があり、その着火点がどこにあるのか分からないということもあり、その時に日下部には、少なからずの戸惑いがあった。
 それが、ストレスにつながったのだが、
「まさか、こんな子供のような理由で、ご機嫌斜めになるなんて」
 と、怒りというよりも、呆れといってもいいかも知れない。
 明らかに、
「怒りは通り越した」
 といってもいいだろう。
 それでも、そんなことは、状況になんら支障のあることではないだけに、結婚の準備は、順調に整った。
 そのほとんどは、日下部が、そつなく動いたことで、最初は、
「俺に、ちゃんとできるだろうか?」
 と考えていたが、果たしてどうだったのだろうか?
 結婚のための準備は、そつなく動いたおかげで、必要以上のストレスが溜まったわけではなかった。
 というよりも、実際に動きが取れたことで、結婚までに、
「ニュートラルの時間」
 というものがなく、一気に進むことは、却って、事を一気に運べることで、まわりも
「あれよあれよ」
 という間にうまくいくのではないだろうか?
 それを思うと、
「俺は、うまくできたんだよな」
 とは思ったが。さすがに一人でやれば、きつかった。
 彼女は、
「すべてお任せします」
 ということで、元々が引っ込み思案だったということで、彼女が表に出てくることはなかった。
 それでも、日下部はすべてをこなした。
 といっても、目に見えていることをという意味で、もちろん、これだけあれば、ちょっとした忘れはあるだろう。
 それを分かっていて、日下部は、
「俺にとって、すべてを任せてもらえるのは、男冥利に尽きるというものだな」
 と感じ、任せてくれた彼女に、お礼が言いたいくらいだった。
 その時の彼女が、
「本当に頼りになる人だから、私もできるだけ協力するけど、やってくれるのはありがたい」
 と思ってくれているのか、それとも、
「私にはできないから、ちょうどいい。やりたいのであれば、やらせておけば、それでいいんだわ」
 と思っているのかによって、ニュアンス的にはまったく違うが、それでも、結婚前の期が高ぶっている時なので、何でも、前向きに見えるというものだ。
 日下部にも彼女に対して、思っていることがあった。
 彼女が無口なところがあるのは、付き合い始めた時からのことであって、最初からそんな彼女のことを分かっていたということもあって、
「彼女が、何も言わないというのは、実際に、困ったことはないということであり、本当に困ったことがあれば、俺に相談するはずだ」
 ということであった。
 しかも、彼女は性格的に、
「石橋を叩いて渡る性格」
 ということで、
「本当に困る」
 ということは、なかなかないだろう?
 と思えたのだ。
 実際に、彼女に限って、大きな間違いがあったことはなかった。どちらかというと、
「急いては事を仕損じる」
 というような、慌て者と称される日下部と違って。下手をすれば、
「石橋を叩いてでも渡らない」
 というほどの人なので、本当に心配することなどないといってもいいだろう。
作品名:自己バーナム 作家名:森本晃次