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自分と向き合う

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 それだけは、家族や恋人であっても、
「やってはいけないこと」
 ということになる。
 結婚して夫婦になったとしても、それはあくまでも、
「家、財産」
 ということへの拘束のようなもので、人格を左右してはいけないのだ。
 それが、今の民主主義であるのだ。
 昔の記憶の中で、子供の頃だったにも関わらず、それだけのことを意識していたようだ。
 そして、今この年、50歳近くになって思い出すというのは、彼女と知り合ったからだろう。
 そして、その彼女というものと、
「どう向き合っていけばいいのか?」
 ということを考えた時、
「相手をいかに尊重し、人生に関わらないようにすることなのではないか?」
 と考えるのだが、そのネックにあるのが、前述の嫉妬心であった。
 特に、相手を尊重するということと、嫉妬心は、切っても切り離せないという、絶対的な対象物であるといえるのではないかと考えるのだ。
 最近は、SNSのようなもので、簡単に友達が作れる、
「リアル以外での、遭ったこともない、親友、恋人」
 有岡は、その絶頂にいた。
 だから、彼女には、名前を付けていない。名前をつけると、現実世界に引き戻されるという感覚になるからであった。
「名もなき彼女に対して、相手をいかに尊厳できるか?」
 などというと、
「ここまで、バーチャルとリアルに結界のようなものが曖昧だということになるのか?」
 ということを考えると、
「本人と他人」
 という曖昧な関係を、いかに明確にできるかというのが、これからの問題だと感じるのであった。
 そして、一番の問題は、
「いかに自分と向き合うことができるか?」
 ということになるのではないだろうか?

                 (  完  )
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作品名:自分と向き合う 作家名:森本晃次