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悪党選手権

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 からこっち、耐震構造にはうるさく言われるようになり、それでも、普段地震がない地域で、普段はないと思われた地震などが発生すると、意外ともろくブロック塀などが崩れ去ることがあり、たまたま、
「横を歩いていた人が下敷きになって、ケガをした」
 などと言われるようになると、その影響で、その場所はもちろん、近くも耐震構造などを調べてみると、
「出るわ出るわ、手抜き工事」
 ということで、
「耐震構造が厳しくなる前からの基準にすら至っていない」
 という体たらくが、行われているということも、ざらであった。
 要するに、
「税金の無駄遣い」
 ということは日常茶飯事であり、そもそもの基本である、地質調査すら、ロクに行われていなかったなどということも結構あったりする。
「土台が悪かったのだから、仕方ない」
 などという人もいるかも知れないが、それは、考え方によっては、
「手抜き工事」
 よりもたちが悪い。
 手抜き工事であれば、最悪建て直せばまだ何とかなるが、そもそも、建物がもたないところに建てたのであれば、まったく最初からやり直しということになる。
 これは、
「本末転倒」
 などという、当たり前の一言で許されるなどということのないものなのであろう。
 それが、まずは、問題だった。
 このあたりの発掘作業が始まったのは、2年くらい前からだっただろうか? ずっと毎日のように発掘作業をしているわけではなかったのは、出土したものがある程度集まったら、
「その研究を研究室で分析するという作業が入るからだ」
 ということを聞いたことがあったが、それが本当なのかどうなのか、自分にはwからなかった。
 その間には、アルバイトの人たちは、順次入れ替わっているということだろう。学生であれば、卒業、就活に忙しくなり、新たな道に進んでいくというのは当たり前のことであった。
 このあたりは、発掘現場ということもあるが、
「山の麓の不便な場所」
 というわけではなかった。
 なるほど、マンションや住宅地の分譲の計画を立てていた場所ということで、まわりには、まだ目立った建物は乱立していないが、この2年間の間で、かなりの店や公共機関が出来上がっていった。
 学校であったり、郵便局、警察、消防などと言ったものも、結構できてきて、街というものが形成される過程となっているのは、間違いのないことであった。
 そして、最近では、大型商業施設がもうすぐ開業予定ということもあり、このあたりの光景は、
「今とはまったく変わってしまうのではないか?」
 と言われるようになっていった。
 大型商業施設というと、基本的に本丸とでもいうような、メインの建物があり、そこで、スーパーであったり、ブティックや、家電量販店などと言った店がテナントとして入っていて、その近くには、大型ゲームセンターを中心とした、ボーリング場を装備したような、
「大型レジャーセンター」
 が運営されることになるだろう。
 そして、忘れてはいけないのが、
「客のほとんどは、車でやってくる」
 ということである。
 もちろん、最寄駅からは、ピストンバスなどを使ってやってくる人もいるだろうが、大半は、自家用車で来ることになる。
 そうなると、開店前あたりから、たくさんの車が駐車場を目指して列をなすことになるだろう。
 それを思うと、駐車場も、かなり大きなものでなければいけなくなる。
 建物の屋上を駐車場にして、さらに、地下も駐車場を作ったとしても、当然足りるわけもなく、建物のまわりに、かなりの広さを有する駐車場も完備させる必要がある。
 人間の心理として、
「1階で買い物をしたら、階を移動したくない」
 というのが、当然で、カーゴ車がそれなりに広いので、エレベーターでの移動は、人が混んでくると、かなり厄介になってくる。
 だから、普通は、
「1階の駐車場を利用しようと思うだろうから、それだけ、広い土地というものが必要になってくる」
 といってもいいだろう。
 そんな状態でも、ここに来るまでの道の広さにも限界がある。開店当日から、1カ月くらいは、ほとんど、車が満車の状態が続くというのも、無理もないことではないかと思うのだった。
 発掘の人から見れば、
「商業施設までは距離があるから、そんなに気にすることはないだろう?」
 と思っているかも知れないが、
「来る時は、まだ店が相手いないだろうから、通勤ラッシュだけを気にしていればいいが、夕方の帰りは、商業施設に来る人とかち合う可能性は十分にある」
 ということを、どこまで考えているかということである。
 若い人たちには、そこまでの意識はないだろうから、仕事が終わってからの、ラッシュが、
「今でもきついのに、これ以上ともなると、結構きついものになるのではないだろうか?」
 ということを考えてしまうのだった。
 だが、若い連中の中には、
「帰りに、ショッピングセンターを覗くのも、楽しいものだ」
 と思っている人が若干名いるのも、事実だったようだ。
 ショッピングセンターは、とりあえずは、まだ開業していない状態で、発掘作業も、一段落した感じだった。
 だが、実際には、
「まだまだ、このあたりには、発掘すべきものがたくさん埋まっている」
 ということで、一応、今は発掘をしていないのだが、いずれ発掘の調整を行うということになり、一旦、発掘現場は、
「閉鎖」
 ということになったのだ。
 そのうちに、学校も生徒が増えていき、近くの住宅街にも人が増えてきたことで、結構賑やかになってきた。
 バス路線も充実してきて、
「郊外のベッドタウン」
 という様相を呈してきたといってもいいだろう。
 そんな街の中心は、やはり、今のところは学校なのではないだろうか。
 特に、このあたりの住宅に住んでいる人は、子供が小学生の高学年から、中学高校という人が多く、当然、学校が充実してくるのは当たり前のことだった。
 このあたりには、小学校が2つ、中学が一つ、そして、高校が一つあるという感じである。
 元々、K市というと、人口も多いところなので、他の地区にも学校が結構あったのだが、一時期、膨れ上がりすぎて、
「新しく小学校を作る必要がある」
 と言われ出してきているが、そのために、中学校も、同時に作るということになれば、それだけの需要のためには、
「さらに人口を増やす必要がある」
 ということから、このあたりの開発計画が始まったのだ。
 だが、今さらというべき、
「社会問題」
 として、大きな問題となっていることとして、
「少子高齢化問題」
 というのがある。
 だから、前であれば、どんどん人口が増えてきていたのだが、今はそれほど、子供の数がいるわけではない。
 そのために、
「学校を作っても、しょうがない」
 と言われるようになってきて、他の市町村では、
「合併して、吸収された学校は、廃校にする」
 ということが続いているようだ。
 そういう意味で、K市でも、
「新たな住宅を作っても、どこまで需要があるだろうか?」
 ということが言われ始めて、それを考えると、
「時代の流れを読み間違えた?」
 と言われている中で、
 それこそ、時代をさかのぼって遺跡が出てきたことで、
作品名:悪党選手権 作家名:森本晃次