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自殺後の世界

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 この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和5年1月時点のものです。いつものことですが、似たような事件があっても、それはあくまでも、フィクションでしかありません、ただ、フィクションに対しての意見は、国民の総意に近いと思っています。

                 爆発事故

 ある日の夜のことであった。静けさの中で、何も音がするはずがないと思っているその場所で、
「カツッカツッ」
 という乾いた音が響いている。
 慣れているはずのその音であったが、毎回聴いていると、その音に敏感な時と、そうでもない時で、感じる度合いの違いに、自分でも驚かされるのであった。
 特に違いを感じるのは、温度と湿気だった。
「まるで、天気予報だな」
 といって、一蹴されるかも知れないが、冗談ではない。実際に寒い日を、本当に寒く感じたり、少し生暖かいにも関わらず、ゾッとするほどの寒さに感じることはあるのだ。
 そのコントロールが、
「湿気ではないか?」
 と思うのだ。
 その違いも、時と場合によるし、ひょっとすると、
「その時の自分の調子によるものなのかも知れない」
 と感じるのだった。
 さらに、温度の違いを感じさせる要素として、
「明るさ」
 いわゆる、
「調度」
 というものが影響しているのかも知れない、
 同じ明るさでも、体調によって、かなり変わってくるものであるが、特に感じるのは、肌が、敏感な時と、そうでない時でかなり違うようだ。
 肌が敏感な時は、えてして、身体に熱を持っていたり、熱さが身体の内に籠って、けだるさを誘うもので、そんな時に限って、本来なら、見え方が違うのだろうが、いかんせん、真っ暗なため、目で、コントロールができないのだ。
 それによって、身体が感じる感覚がストレートに襲ってくるので、余計に、体調の悪さが、ダイレクトに襲い掛かってくるのだった。
 この日の音は、想像以上に耳に響いていたのだ。
 真っ暗な中で、胸の鼓動が激しくなる。いつもであれば、これくらいの時間が経つと、目が慣れてきて、少しずつだが、視界が広がってくるものだが、胸の鼓動があるせいか、どうも、いつもほど、身体がいうことを聞いてくれないようだった。
 手に持った懐中電灯が小刻みに震えている。距離感が掴めないのか、揺れているその先に見えているはずのものが、おぼろげにしか見えてこない。
 週に、何度も同じ時間に、見回りをしているので、慣れる慣れないという問題でもないはずだった。
 本当であれば、薬品の臭いがプーンとしてくるのだろうが、慣れのせいか、感覚がマヒしていた。
 それでも、同じ臭いであっても、湿気の臭いや、汗の臭いは、慣れてきても、鼻に突くのだった。
「薬品の臭いの方が、ひどいはずなのに」
 と感じる。
 人の臭いというのは、自分の臭いでなければ、敏感に感じるものだが、さすがに、薬品の臭いには勝てないだろう。
 かといって、
「どちらかがどちらかの臭いを打ち消す」
 ということはないようで、
 必ずどちらかの臭いのきつさが、鼻に残ってしまい、いつもその感覚になるのだった。。
 つまりは、
「今日は、人の臭いがきついが、今日は薬品の方がきつい」
 などということはない。
 一度どちらかにそのきつさを感じたのであれば、そっちばかりを気にするようになるのであろう」
 と感じるのだった。
 しかし、彼女の場合はそんなことはなく、いつも、汗の臭いばかりが気になっていた。
 ただ、それも、
「汗をまったく掻いていないという時に限って、薬品の臭いを感じるのだが、そんな時でも、それまで感じなかった汗の臭いを感じるようになる」
 ということであったが、
「それが、最初から感じていたはずなのに、意識がなかっただけなのか、薬品の臭いが、汗の臭いを引き出す効果があるからなのか?」
 この不思議な感覚を、時々、
「気持ち悪い」
 と感じていたのだった。
 だから、
「今日は汗を掻いていない」
 と思ったとしても、どこかから湧いてくるような汗の臭いに、誘導されるかも知れないと思うと、無意識に、その日の湿気を自分なりに感じるようにするのだった。
「今日はまったく湿気がない」
 と感じる時以外は、どこかからか臭ってくる、汗の臭いが、湿気によってもたらされたものだと感じさせることに、
「私の感覚は、いつもと変わらない」
 と、いまさらながらに思い知ら去れるのであった。
 ただ、その時の汗の臭いというものは、毎回同じ臭いというのは、一度としてなかった。
 それは、
「自分が分かってない錯覚によるものなのか?」
 それとも、
「一度時間が経つことで、臭いを意識から一度リセットするからなのか?」
 自分でも、よく分からなかった。
 そんな臭いが、次第に頭痛に繋がっていくことがあるのだが、それに気づいたのは、最初から分かっていたわけではなく、しばらく経ってからのことだった。
 それを思うと、
「臭いを感じるようになったのも、しばらくしてからだった」
 と感じたのも、すぐではなかった、
 分かった瞬間というよりも、別の何かのきっかけの時に感じたのだということを理解したのだった。
 というのも、実際に体調が悪い時には、
「鼻が詰まっている」
 という時もあったからで、鼻が詰まっていると、臭いを感じないということが常識のようなはずなのに、臭いを感じないと思った時でも、汗の臭いが感じることがあったのだ。
 だが、それは、
「薬品の臭いと混じったことで、臭いが拡散された気持ちになるからだろうか?」
 とも感じたのだ。
 確かに、薬品の臭いは、
「鼻が詰まっていても、関係ない」
 というほどきついことがある。
「薬品の臭いは、鼻で感じるのではなく、身体全体で感じるのだ」
 いうことであった。
 実際に感じた臭いを思い出してみると、体調の悪い時だけは、思い出すことができる。
 しかし、思い出した臭いは、決して薬品の臭いではなく、汗の臭いなのだ。実に不思議な感覚であるが、そうだったのだ。
「昔は、体調が悪ければ、薬品の臭いを感じていたのに」
 と思ったが、今は、
「立場が変わったからではないだろうか?」
 と彼女は感じたのだ。
 というのも、彼女は、看護婦だった。
 ここは、病院で、そこの看護婦であった。
 入院患者が数十人くらいは抱えることができるような、個人病院としては、まあまあの規模で、外来だけでなく。入院病棟もあるというおとなので、看護婦の数も結構なものだった。
 彼女は名前を、
「夏目みゆき」
 と言った。
作品名:自殺後の世界 作家名:森本晃次