(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ
ここでA・B・C・Dをもうちょっと詳しく紹介するとね。
まずAは白鳥座星人で、これは実におおまかな呼称。詳しく言えば、種は超賢(ちょうかしこ)星人という連中。
その母星は1400光年先ににある白鳥座の中で最も明るいデネブ、その惑星のKSKという星。つまり字の通りKASIKO星人なんだよ。
その文明は人類より、まあ5千年は進んでいると言っても過言ではないだろうね。
姿は真っ白なロングヘアーでスラリと背が高い。さらに特徴は緑目だね。他に鼻、耳、顎などの尖った所が心臓の鼓動に合わせてピカリピカリと光りよるんだ。
宇宙は極悪な連中ばかりだけど、KASIKO星人は頭脳明晰でホントに心優しい宇宙人でね、現在30体の星人がこの地に駐在しているのかな。
次にBは身長160センチくらいということは分かってるんだけどね、本当の姿は誰も知らない。まさに謎の宇宙生物だよ。
というのもな、いつもひょっこり現れ、さっと消えて行くんだよ。なぜなら身体時空移動能力を持ってるからだとさ。そんなことから謎のHYOKORI生物と呼ばれてるんだ。
だけどね、確かにそれは特殊能力なんだけど、ただ粘着剤には弱くって、不幸にもひっついてしまえば身抜け出来ず、身体時空移動は不可となるらしいよ。
それでもね、宇宙の超悪(ちょうわる)星人達はその移動能力を取得したいがために、生け捕りにしようと鳥黐(とりもち)の罠を宇宙のあちこちに仕掛けてるんだそうな。
まさにそれはHYOKORI生物の存亡の危機。これを気の毒と思って、怒ったのが白鳥座のKASIKO星人たちでね、とにかく徹底的に罠を破壊してやったんだよ。これが縁で、生まれたんだそうな、宇宙における堅い絆と友情が。
さらにね、HYOKORI生物には他にも特殊能力があってね、それはあらゆる生物の……、ちょっと出来映えに疑問符が付くのだけど、擬態が出来るんだ。その上に片言ながら会話もね。
例えばニワトリに擬態し、コケコッコー語で意思疎通が8割程度は出来ると言って良いかもな。
だけどね、そのHYOKORI、この基地に何体生息しているかは不明だよ。
作品名:(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ 作家名:鮎風 遊