(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ
次にC、製造元はKASIKO星人、高度で実に愛すべきAIロボット達でね、通称《愛ロボちゃん》と呼んでるんだよ。
種類は蜜蜂から牛、さらに小川で泳ぐ魚に基地のあらゆる設備メンテを担ってる保守ロボまで。なんと種類は1千種、数は1万匹を超えるだろうね。
また必要に応じて、惑星KSKからの入れ替えや更新が繰り返され、日々進化してると言っても過言ではないでしょう。
その中でも最も高度な愛ロボちゃん、それはほぼKASIKO星人の兄弟姉妹と言っても過言ではないSOUMEIたちだよ。もちろん人間の知能を完璧に超えているよ。
そして最後に――、『D』。
Dは俺たちと同類の人間だよ。
ただしいろいろな理由でこの黄金基地に流れ着いてしまい、挙げ句の果てに地球の俗世界を捨て住み着いたんだよ。そんな変わり者たち、現在未成年者含め30人ほどかな、ここの人間村に住んでいるんだ。
実はね、関わり合った歴史は古く、1千年ほど前からこの基地のオーナー・KASIKO星人は来る者は拒まずで共に生きることを選択してきてくれたのだよ。
もちろん子供たちも生まれ、この基地内で5千年先の教育を受け、高等宇宙人として星空へと旅立ち今も活躍してるよ。そんな宇宙人間も含めれば、現在累計で100名を超えるだろうね。実に頼もしいものだよ。
ここまで真剣に浩二と私にオリエンテーションをしてくれた山烏(やまがらす)・ジッチャン、本当に頭が下がったよ。
「この黄金山基地がどういうものなのかよく理解出来ました」と礼を述べ、もう一つの疑問を訊いたんだ。
「ジッチャンとバッチャンは何のために……、この基地に?」
これに山烏・ジッチャンは意志強く答えてくれたんだよ。
「俺たちがこの基地に定住してるのはな、この地下基地の上にある黄金山の自然や野生生物を徹底的に守ることなのだ。彼らをウィルス汚染の関係で基地内に持ち込むことは不可、かつ、いかなる惑星へと移すこともできない。宇宙ではまさに奇跡と言える動植物たちをこの山で絶対に絶やさないと日夜守っていく。これが俺たちのミッションだよ。その甲斐あってか、今も現代人どもが見たこともない古代からの動植物たち、そう、多くの未確認生物が面々と命を繋いで行ってるんだよ!!」
この話しに、今までの人生未確認生物を追っ掛けてきた浩二から「ウッ、ウッ、ウッ」、そんな嗚咽が漏れてきたんだよな。
作品名:(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ 作家名:鮎風 遊